メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

韓国料理の豊かさ

世界三大料理と称される「中華料理」「トルコ料理」「フランス料理」は、いずれもかつての宮廷料理がその元になっていたのではないかと思う。

宮廷には毎晩のように贅を尽くした料理の数々が並べられていたそうだ。

中国はもちろん、どの国も領域内に温暖な気候に恵まれた地方があり、豊かな農業生産と共に数多の贅沢な食材を得ることができたに違いない。

植民地を獲得する前の英国やドイツなどは寒冷な気候のため、手に入る食材にも限りがあり、それで質素倹約を旨とする質実剛健の気風を育て上げたのだろう。その代わり食文化は余り発展しなかったような気がする。

しかし、それでは韓国の料理がバラエティーに富んでいて、贅沢な味わいに満ちているのは何だか合点が行かない。国土も狭く、気候の条件もそれほど良くはなかったので、農業生産が豊かであるとは言えなかったはずだ。

やはり、韓国料理の美味しさも、李朝の宮廷料理が元になっていたからではないだろうか? 

チャングムの誓い」といった韓流ドラマには、贅沢な宮廷料理を作り上げた調理人の姿が描かれていたらしい。

今でも北朝鮮の「宮廷」を想像すると、国の農業生産力の如何に拘わらず、贅沢を尽くしている様子が窺えるように思える。

それに比べたら、日本の歴代の為政者たちは、可哀そうになるくらい質素だったという。

岩波文庫で「旧事諮問録」などを読むと、江戸の将軍の食事は、実に質素で見すぼらしい。とても「宮廷料理」と言えるようなものではなかった。

最近も、総理大臣の会食が豪華だったとか何とか大騒ぎしているけれど、そうやって贅沢を攻撃する風習は昔から変わって来なかったのかもしれない。

こうして、為政者たちが見かけだけでも質素に振る舞うのは有難いことでもあったに違いないが、それでは豊かな食文化を育むのも難しかっただろう。

そのため、正直言って、食文化の面で日本は韓国にとても敵わない。まず、伝統的な和食に肉料理がないだけでも相当見劣りしてしまう。

現在の日本の家庭料理から中華や洋食を除いたら、食卓は随分貧弱なものになると思う。それに引きかえ、韓国の伝統的な家庭料理の豊かさは目を見張るばかりだ。

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2013年 ソウル景福宮

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2013年 ソウル景福宮