昨日は、神戸トルコライスで「かつトルコ」の方を食べてみようと思い、夜勤が明けると、歩いて大倉山公園近くの神戸トルコライスへ向かった。
しかし、歩いても2時間ぐらいで着いてしまうから、1時間ほど何処かで時間調整しなければ、店の前でぼんやり開店を待つことになる。
それで、少し大回りして山側を歩いてみたけれど、特に何処か寄ってみたい場所があったわけではない。ただ、ぶらぶらと諏訪山公園の辺りから西の方角へ向かって歩いた。
すると、途中、山麓の高い所に古めかしい塔が立っているのが見える。俄然興味が湧いてきて、幾分歩調を速めながら山麓の坂道を上ったら、「祥福僧堂」と記された山門が目の前に現れた。
山門を潜って、さらに石段を上り詰めると、そこは何だか漂っている空気の感触さえ異なるような、静寂で清々しい風情が感じられる空間だった。
臨済宗の祥福寺という古刹だそうである。
残念ながら、下から見えた塔は、納骨堂になっているため、一般には公開されていなかったが、それを丁重に説明してくれた作務衣姿の若い修行僧も現代の人とは思えない雰囲気を醸し出していた。
おそらく、この感動は、当てもなく歩いていて、急に異なる空間へ迷い込んでしまったので得られたのだろう。最初から訪ねるつもりで、余計な予備知識を持っていたら、あれほどの感慨も湧かなかったのではないかと思う。
祥福寺を後にしてから、スマホのグーグルマップで現在位置を確認したところ、近くに「湊山温泉」という表示が出ていたので、ここにも寄って見た。
この湊山温泉も山間の寂れた温泉宿みたいで情緒たっぷりである。次回は、是非とも湯に浸かって行くことにしよう。
こうして、朝も食べずに歩き回ったお陰で、「かつトルコ」の味わいも一層深まって、昨日は何から何まで良いこと尽くめだった。
やはり、旅は余り計画を練らずに偶然の出会いを楽しむべきかもしれない。
写真などなかった昔、シルクロードを旅して来た人が、ボスポラス海峡のアジア側に辿り着いて、対岸にアヤソフィア、ブルーモスクを臨んだ時の感動は計り知れない。
今は名所の多くを写真で先に観てしまっているから、感動も薄れてしまうけれど、イスタンブールや京都のような街を当てもなく彷徨えば、思いがけない光景に出くわす機会は少なくないと思う。