このYouTube動画では、トルコ人の家族とイラン人の家族がイスタンブールのイラン料理店で夕食を楽しんでいる。
食卓にはイランの人たちが愛してやまないチェロウも並んでいるけれど、トルコ人の面々からは「味が無い」なんて声も聞かれて、それほど良い評価を得られていない。
どうやら、出汁と油脂を使って調理されているトルコのピラフ(pilav)と比べてしまうため、チェロウは「味が無い」と感じられるらしい。
「私たちのピラフは味をつけているが、これは米そのものが強調されているようだ」というトルコ人女性の評価は、なかなか的を射ているのではないかと思う。
しかし、その米の風味も、トルコとイランでは大分異なっているはずだ。トルコのピラフに使われている米はジャポニカ種に近く、出汁や油脂を使わずにそのまま炊けば、日本のご飯のようになる。
一方、イランのチェロウも水だけで調理しているけれど、インディカ種の「香り米」を用いるため、仕上がりと風味は大きく異なる。
かつて、日本が米不足に陥った際、輸入されたインディカ種のタイ米は、それを日本のご飯のように炊いた人たちから「不味い」と酷評されていた。
しかし、日本の米とは異なる全く別の食材であると思って調理していれば、それなりに楽しめたと思う。
日本の「ご飯」、イランの「チェロウ」、トルコの「ピラフ」は皆それぞれ別の料理で、それぞれに異なる味わいがあるのに、同じご飯、あるいはピラフだと思って食べると、ちょっと裏切られたように感じてしまうのかもしれない。