メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコのバレンタインデーは「恋人たちの日」

 先週、家賃を納めに銀行へ行ったら、隣の窓口で、20代後半と思しき男の行員が、私と同年配ぐらいの顧客に、振り込み期日か何かを説明しながら、「これは、2月14日までにお願います。ええ、2月14日、“恋人たちの日”ですよ。恋人たちの日!」と繰り返し強調して、一人で喜んでいた。当日に、デートの約束でもあったのだろうか? 
顧客の男は、少し愛想笑いを浮かべただけで、これといった反応も見せなかった。トルコで“恋人たちの日”が祝われるようになって、多分、まだ20年ほどだから、その前に青春が終わっていた世代には、何のことやら解らない人もいるに違ない。
最近は、保守的なイエニドアンの街の菓子屋でも、この日が近づくと「君を愛している」なんて文字飾りが施されたハート型のケーキを見かけたりする。
日本のように、チョコレートが特にプレゼントされる風習はないけれど、ユルケルという大手製菓会社は、フェイスブックで、チョコレートを使った「“恋人たちの日”のコマーシャル」を展開していた。
ゴディバを買収したことでも知られるユルケル社は、トルコの標準からすれば、非常にイスラム色の強い企業と見做されているが、バレンタインデーの由来等々には余り拘っていないようである。
私は、子供の頃から、中毒と思えるくらいチョコレートが好きだったものの、“恋人たち”の方に全く縁がなかったため、義理も含めて、その日にチョコレートをプレゼントされた覚えが殆どない。例外として、ソープランドで、ようやく義理の詰まった小さなチョコにありついたぐらいだ。
こういった因縁もある好物のチョコレートだが、昨年5月に糖質制限を始めて以来、口にすることは滅多になくなった。昨年9月にビターチョコレートを1枚、年が明けてからミルクチョコレートをやはり1枚、それも3片ずつ4日に分けて食べただけである。
久しぶりに食べても、ビターの方はそれほど感動しなかったけれど、ミルクチョコレートは実に感動的だった。チョコレートはミルクに限ると思う。