メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ブルキニ/磯着

ブルキニという“敬虔なイスラム女性用”の水着がフランスで禁止されて話題になっている。(ダブついたウェットスーツのような水着)
10年ぐらい前なら、「トルコでも禁止すべきだ」と主張する政教分離主義者、これに反発する保守派の間で大騒ぎになっていただろう。
それが今や、“禁止”まで訴える人たちは、無視して良いくらいの少数になり、反発の声もそれほど高まっていないような気がする。
既に、「政教分離イスラム」の対立軸が解消されただけでなく、西欧に対する思いも大分冷めてしまったのかもしれない。なんとなく「呆れ果てた」という雰囲気さえ感じられる。

私はトルコで、ブルキニらしい水着を一度だけ見たことがある。2007年の夏、ビュユック島の人けの少ない海岸だった。
その女性は、バミューダタイプの海パンをはいた御主人と思しき男性から、泳ぎの手ほどきを受けていた。
あれ以来、ブルキニ水着は、トルコで増えているのだろうか? 余り話題になっていないところを見ると、そうでもないと思う。
そこまでしないと気が済まない女性は、そもそも海水浴などしないか、女性専用ビーチといったものを利用するらしい。私は知らないが、リゾート地に行けば、僅かながら女性専用ビーチも出来ているそうだ。
しかし、ブルキニに気分を悪くしているフランスの人たちも、伊勢志摩の海女さんたちの磯着姿には、多分、喜んで歓声を上げるに違いない。あの白い磯着は、ブルキニよりもっと水着らしくないような気がするけれど・・・。
ウイキペディアの記述によれば、伊勢志摩の海女さんたちも、大正年間までは、上半身裸で海に入っていたという。裸をやめた理由については、以下のように記されている。
「真珠養殖を欧米人に見学させる際に上半身裸では問題があるとされ早くから着衣が広まった」
トルコの女性は、欧米人に倣って肌の露出を増やし、日本の海女さんは、欧米人の視線を気にして裸をやめたのか・・・。まったく、欧米人というのは煩わしい存在だ。
他の地域では、ふんどし一丁の勇ましい姿で海に入る海女さんたちも多く、戦後の50年代、その風俗を取材して出版したイタリア人の写真家がいたそうである。

(海女の島-舳倉島 - 日本が神話の中にあった時代)

merhaba-ajansi.hatenablog.com