ソウルの聖ニコラス大聖堂で頂いてきた「エギナの聖ネクタリオス」は、まだ“序論”や“訳者あとがき”に目を通したぐらいだが、ネットで検索してみたところ、聖ネクタリオスについては、ウィキペディアにも「エギナのネクタリオス」という項目が掲載されていた。聖ネクタリオスは、1846年に現在のイスタンブールにほど近いシリヴリで生まれ、1920年、ギリシャのエギナ島で永眠したと記されている。
ネットの検索では、日本の正教会のサイトにも行き着くことができた。このサイトには、「エギナの聖ネクタリオス」の出版案内が出ている。日付を見ると、7月5日となっていて、私が本を頂いた7月26日には、既に日本の正教会でもこの本が販売されていたようである。
しかし、この出版案内では、訳者のタチアナ金順徳女史の訃報も伝えられている。本の出版を見届けた後、5月に亡くなったそうだ。“訳者のあとがき”を読んで、90歳に近い高齢であることは解っていたが、少なからず驚き残念に思った。“訳者あとがき”には、とても印象深い一文があったので、その部分を以下に引用してお伝えしたい。
「・・・六歳のときから日本語で教育され、父のこともあって日本にも恨みがありました(注:父君は日本の警察によって投獄、拷問を受けたとのこと)。しかし、それはその時代の避けられぬ国運に任し、個人的には近くて遠い間柄の両国、今でも韓国と日本は二国間問題で揉めていますが、お互いに欲張らず、良心的に理解し、過去の過ちを省みながら理解したいと思います。・・・」
考えてみると、正教会に限らず、カトリックやプロテスタントの各教派でも、日韓の交流は非常に盛んである。願わくは、宗派などの垣根を越えて、さらに交流が広がってくれたらと思う。
また、宗派における交流は、もちろん日本よりも、他のキリスト教の国々との間で一層緊密になっている。韓国の正教会は、コンスタンディヌーポリ総主教庁の管轄下にあるため、ギリシャ、そしてイスタンブールとも強い絆がある。プロテスタントの各教派であれば、米国との結びつきが強いだろう。
先日、朴大統領が中国の抗日勝利式典に参席したことが話題になっていたけれど、韓国のキリスト教各宗派は、韓国が欧米との関係を深めて行くうえで、一定の役割を果たしてきたのではないか、これがますます重要になってくるかもしれない。