メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

飲酒の問題はクリアされたのか?

昨年末、日本へ発つ前、近所の家電修理屋さんに、「日本の食事で何を楽しみにしているのか?」と訊かれたので、「そりゃ、もちろん日本の酒だよ」と答えてから、「すまんねえ」と言い添えたら、「構わないよ。私らは、もうとっくにそういう問題をクリアしているんだ」と笑っていた。

保守的なイエニドアンの街では、金曜礼拝の時間になると、殆どの商店が一時休止してしまう。がちがちと言って良いくらい敬虔なムスリムの家電修理屋さんも、金曜礼拝となれば、真っ先にモスクへ行く。他の礼拝時間には、店内で礼拝を行なっている。ラマダンには断食を実践し、アルコールは一滴も口にしない。

しかし、このイエニドアンの街にも、酒類売店はある。ラマダン中も営業しているし、酒類販売は10時までという法規も厳格に守られているわけじゃない。

だからと言って、これに家電修理屋さんらが目くじらを立てることもないようだ。確かに、問題はクリアされてしまったらしい。

思うに、かつては、飲酒こそが近代的な風俗であるかのように喧伝しながら酒を飲む政教分離主義者のエリートから、自分たちが抑圧を受けていると感じていたため、むきになって反発していたものの、既に飲酒はエリートのシンボルじゃなくなってしまったので、それほどむきになる必要がなくなったのかもしれない。

そして、政教分離に対する反発も余り見られなくなったのではないかと思う。

なにしろ、2011年には、かつて政教分離の敵と看做されていたエルドアン首相(当時)が、エジプトへ行って、政教分離を勧めるようになったのである。

 

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