メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ユンエの結婚式

 先週の水曜日から、5泊6日で、黒海地方のサムスン、ユンエ、そしてアンカラと回って来た。
ユンエでは、友人ネヴザットさんの長女の結婚式に参席したけれど、ユンエを訪れたのは、2年前、長男の結婚式に参席して以来だった。↓

 その前は、2000年の犠牲祭に訪れたことがあるだけで、特に良く往来があるわけじゃない。それでも、ネヴザットさんの親族の人たちは、私を親しい友人のように迎えてくれた。
しかし、ネヴザットさんも、奥さんのセヴィライさんも、各々の兄弟が10人ぐらいいる大家族なので、私のほうは、とても全ての親族を思い出せなかった。先週、2日間の滞在で、辛うじてネヴザットさんの弟3人の顔と名前が一致するようになったくらいである。
一番下の弟イブラヒムさんは、フランスのストラスブールに住んでいて、ドイツのハイデルベルクにいる兄と一緒に車で駆けつけたと言う。交替で運転しながら、イスタンブールまでは、一気に18時間で走破したというから凄い。
イブラヒムさん、ストラスブールでは、建設重機のオペレーターをしているようだけれど、15年間暮らしていながら、フランス語は余り良く解っていないらしい。「トルコ語だけでも生活には困らないから」と話していた。
ネヴザットさんの直ぐ下の弟オクタイさんについては、名前こそ思い出せなかったものの、何処で何をしている人なのか、しっかり覚えていた。彼は、ユンエから700キロほど離れたゾングルダクで、モスクのイマーム(導師)をしている。教養が感じられる温厚な紳士だ。
2年前は、そこまで知らなかったが、オクタイさんは、フェトフッラー・ギュレン師の熱烈な信奉者らしい。その為、3月の地方選挙では、CHPに票を入れたという。それで、親族の男たちから、「イマームのくせに、CHPに投票するなんて、情けない奴だ」と詰られたそうである。
この親族の男たちは、結婚式の前の晩に開かれる“クナ・ゲジェスィ”で、ウイスキーをがんがんやっていた。私も少し御馳走になったけれど、ジョニーウォーカーの赤なんて、30年ぐらい口にしていなかっただろう。久しぶりに飲んだ所為か、とても美味いと感じた。
しかし、こんな酒飲みたちから、まるで“破戒イマーム”のように言われたのでは、オクタイさんも可哀想な気がする。私が、ギュレン教団傘下のサマンヨルTVで放送している紀行番組“アイナ”を話題にして、「あれは良い番組ですねえ」と称賛したら、とても喜んでいた。オクタイさんは、番組の進行役サイム・オルハン氏とゾングルダクで会ったそうだ。
酒飲みの親族たちも、“クナ・ゲジェスィ”では、少し離れた席に集まり、ジョニーウォーカーの瓶を足元に隠すなどして、一応周囲に気を使っている。政治的な話で激しくやり合ったとはいえ、あの一両日は、オクタイさんへ丁重な敬意を表していた。
結婚式を機に、親族が一堂に会して、和やかな時間を過す。私もその末席に加えてもらえて嬉しい。トルコで暮らしていて本当に良かったと思う。

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