メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

外国人ジャーナリストが見たイスタンブール

2006年の8月、イスタンブール市の文化局が、「外国人ジャーナリストの見たイスタンブール」という本を出版している。
この本は、22人の外国人から寄せられた「イスタンブールの印象記」をもとに編集されていて、その22人の中に、どういうわけか私の名前もある。
いったい何に基づいて人選したのだろう? 私のところへは、当時、マルマライの工事現場で通訳を務めていたトルコ人の友人から話が舞い込んできた。
編集を担当している出版社に赴いたら、「ほかに、一筆書いてくれそうな韓国人の知り合いはいないか?」と訊かれたので、1991年イズミル以来の友人であるキムさんを紹介した。
当時は、日本も韓国も、イスタンブールに新聞社等の支局は置いていなかったため、執筆者探しに難航したのかもしれないが、その経緯は今もって不可解である。
韓国の大企業から、管理者としてトルコへ赴任し、イスタンブール韓人会の会長を務めていたこともあるキムさんなら解るが、何の肩書もない私を使ってくれたのは、奇妙としか言いようがない。
私は、稚拙なトルコ語で、3ページほどの印象記を書き、それを編集者のイブラヒム・シャーミルさんが、きれいなトルコ語に直してくれた。
出版されてから、私の肩書を見ると、「フリーランス通信員」となっている。このフリーランスというのは、実にありがたい言葉である。プー太郎でも何でも皆フリーランスになってしまう。
ところで、既に10年が経過した今頃になって、何故、この話を持ち出したのかと言えば、3週間ほど前、フェイスブックを通して送られてきたメッセージに、とても感動したからだ。
トルコ人の大学生が、卒論に、私の印象記を引用したと言うのである。それを、またわざわざ報告してくれるのだから嬉しい。
私個人の状況は、お先真っ暗で、なかなか明るい気分にもなれないけれど、何か書き続ける勇気を与えられたような気がする。

f:id:makoton1960:20190619185053j:plain

f:id:makoton1960:20190619185136j:plain

f:id:makoton1960:20190619185226j:plain