メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

メルヴェ・カヴァックチュ(イスラムフォビアとトランプ氏)

昨年の12月に、“Haberturk”で放送された番組を、先日、“YouTube”から視聴した。欧米におけるイスラムフォビアの問題とトランプ氏の躍進について、メルヴェ・カヴァックチュ氏がアフシン・ユルダクル氏の質問に答えている。(両氏とも女性)
現在、ウスキュダル大学(イスタンブール)の教員であるメルヴェ・カヴァックチュ氏は、1999年4月の国政選挙で当選したにも拘わらず、翌5月、スカーフを被ったまま初登院を試みて退場させられた挙句、米国籍の取得を通知していなかった過去が明らかになって、トルコ国籍を剥奪され、一時期、米国の大学で政治学の教鞭を取っていたという人物。
カヴァックチュ氏が国会を退場させられた事件の当時、私はイズミルイスタンブールを行ったり来たりしていたけれど、あの事件のニュースはイスタンブールの友人宅で見ていたのではないかと思う。
友人家族は保守的な人たちだから、カヴァックチュ氏を退場させた側を非難していたに違いないが、とにかくニュースの報道が凄まじい勢いでカヴァックチュ氏らを攻撃して、騒然とした状況になっていたのを覚えている。
『スカーフを被って国会に入るなんて! こんな恐ろしいことが起きて良いのか?!』というような雰囲気だったから、私には何だかとても大袈裟に思えて、多少滑稽な感じさえした。
ところが、今や国会には、スカーフを被った議員どころか大臣までいるのだから時代は変わったものである。昨年、11月の選挙では、カヴァックチュ氏の妹が当選し、1999年の事件当時に姉が被っていたスカーフで初登院を果たして話題になっていた。

さて、“Haberturk”の番組でカヴァックチュ氏は、アメリカのイスラムフォビアを「コンジョンクチュール(変動局面)」な問題であると分析して、かなり楽観的に見ているようだった。
個人的にアメリカでイスラムフォビアの被害を受けたことはなく、イスラムフォビアにさらされたのは、むしろ祖国のトルコにおいてだったと皮肉ってから、アメリカの多様性を説明するため、「911」の直後に、滞在していた保守的なテキサス州で、市民たちが「何かあってはいけない」と自分の娘に付き添ってくれた例を挙げている。
一方、ヨーロッパのイスラムフォビアは、過去の植民地史の清算といった側面も含まれていて一層根深い問題であり、そう簡単には解消されないだろうと語っていた。

以下の“YouTube”で番組を少し観れば解るように、カヴァックチュ氏はなかなか美形なうえ、表情がとても豊かで、強い印象を残す女性である。また、現在の夫が3人目というから、恋多き女傑と言っても良いかもしれない。
1999年の事件の後、ある識者が、カヴァックチュ氏の抜きんでた才能を褒め称え、「20年後は、彼女がイスラム勢力を率いているのではないか」と記していたように記憶している。今後、妹に続いて政界入りする可能性もあるだろうか?
番組では、女性の立場からヒラリー・クリントンの健闘を期待しながら、とても保守的なアメリカの社会に「女性の大統領」を受け入れる準備が出来ているのか疑問を呈したうえで、「この意味では、発展途上にあるトルコのような国は、もっと進歩的であると考えることも出来る」と笑っていたけれど・・・。
イスラムフォビアについて語るメルヴェ・カヴァックチュ氏


PAMER Başkanı Doç. Dr. Merve Kavakçı İslamofobiyi Habertürk Manşet'te değerlendirdi.