メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

バルソロメオス総主教の人徳

YouTube”でバルソロメオス総主教が、昨年、黒海地方のギレスンを訪れた時の映像を観た。目的が何であったのか、映像に何の説明も無いため良く解らないが、博物館や遺跡、高校、大学などを視察している。
バルソロメオス総主教は、1940年の生まれで、昨年、73歳になっていたはずだが、階段を上ったりしている姿を見ると、とても動きが軽い。高校の視察を終えて出て来た所では、少年が蹴ったボールをほいと蹴り返している。学問だけでなく、体の鍛錬も怠っていないのだろう。
総主教を迎えた地元の人たちとの交流も微笑ましい。子供らに「喧嘩するなよ」と言ってから、飴(?)をプレゼントしたり、子供たちの携帯で一緒に写真を撮ってみたり、とても気さくな人柄が覗える。
この地元の人たちは、もちろんムスリムだろう。7~8年前の「宣教師が殺された」とか何とか、ああいうのは全て“政治的な事件”だったのではないかと思う。トルコでは、私のような異教徒の外国人が何処へ行っても、皆、暖かく迎えてくれる。
バルソロメオス総主教の人柄が覗える映像として、以下の“YouTube”の一場面にも驚かされた。


M.Ali Birand Son Yolculuğuna uğurlandı Sevenleri Yalnız Bırakmadı

これは、2013年1月17日に亡くなったジャーナリストのメフメット・アリ・ビランド氏の葬儀の模様である。ビランド氏は、さほど難しくないと思われていた胆嚢か何かの手術が失敗して、翌日だかに亡くなってしまった。遺族の悲しみは大きかっただろう。
その中で、未亡人となったジェムレ夫人は気丈に振る舞い、毅然とした態度で葬儀の挨拶を述べ、順に弔問客のお悔やみを受けていたが、バルソロメオス総主教を前にしたら、総主教の手を取ったまま泣き崩れてしまい、「貴方の祈りも彼を救えなかった・・」と嗚咽しながら言ったのである。それまでの気丈さからは想像も出来ない姿だった。
総主教はビランド氏の家族と懇意にしていたらしく、亡くなる1週間ほど前にも夕食を共にしたと明かしていたけれど、あの場面を見たら、やはり特別な何かを持った人なのだろうと思わされてしまう。 

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