中国を訪問したフィダン外相がBRICSへの加盟を望んでいるかのように話したため、トルコの世論は加盟の是非を巡る議論で盛り上がっているらしい。
ひと頃は、トルコのEU加盟がエキサイティングな話題となっていたのに、何だか隔世の感があるように思われる。
私もあの「ゲズィ公園騒動」が起きるまでは、いよいよ加盟が実現するのではないかと夢見ていた。
今から思えば愚かなことである。トルコは加盟と引き換えに多くのものを失っていたかもしれない。
そもそも、何故、私はトルコのEU加盟に舞い上がっていたのだろう? おそらく、知らず知らずに世界を西欧中心で見ていた所為ではないかと思う。
とはいえ、実際に、世界はこの300年ぐらいの間、西欧を中心に回って来たのだから、私のボンヤリした頭が世界をそう見ていたとしても無理はなさそうである。
西欧は圧倒的な力で世界をリードして来た。しかし、その圧倒的な力を手に入れるきっかけとなったのは、植民地の獲得ではなかったのか?
西欧は植民地から収奪した富により産業を興し、世界の中心に君臨するに至った、と大雑把に言ってもそれほど間違ってはいないような気がする。
そのため、西欧を中心にした繁栄の歴史は、収奪された側から見れば、まさしく暗黒の歴史だった。そんな酷い歴史が未来永劫にわたって続いたら堪らない。
歴史は栄枯盛衰の繰り返しであり、「驕れるもの久しからず」となるのが、当然の成り行きである。少なくともグローバルサウスの人たちが、そのように見ていても不思議ではない。
BRICS、そして中国、ロシアが期待されているのは、中国もロシアもグローバルサウスと呼ばれる地域で過去に植民地収奪を行っていないからだろう。
今、中国が投資によって経済的な支配を目論んでいると言っても、それは西欧による植民地収奪と今も続く搾取に比べれば遥かにましであると見られているようだ。
西欧の尻馬に乗っかった日本の繁栄など、西欧から見たら僅かなものだったかもしれないが、それさえも「春の夜の夢」とならぬように祈りたい気持ちである。