川口市のクルド問題、やはり最も気になるのは、上記の駄文で取り上げた「テロ組織であるPKKが日本へどのくらい浸透しているのか」という疑念である。
PKKがトルコからの分離独立を掲げて、テロによる武力闘争を続けて来たのは紛れもない事実だが、おそらく世界の歴史を振り返ってみれば、称賛の対象となっている独立運動もその多くはテロから始まっている。
そのため、以下の「トルコにおけるクルド人とイスラムの問題」にも記したように、PKKを称賛する報道が見られたとしても不思議ではない。
しかし、問題はその独立闘争が、どれほど地域の民衆に根差した運動であったのかという点にあると思う。
例えば、西欧によって分割されたオスマン帝国から独立したシリアやイラクのその後を考えてもらいたい。西欧の介入による政変や内戦が続いた有様は、まるで積み木崩しで弄ばれていたかのようだった。
そもそも、この地域の人々はオスマン帝国からの独立を望んでいたのだろうか?
多くの人たちは帝国が崩壊せずに存続していれば良かったと思っていたかもしれない。
現在、トルコには300万人以上のシリア難民が、シリアへの帰還を拒んで居住を続けている。彼らはシリアが独立していなければ「難民」になる必要もなかったはずである。この「難民」の中にはクルド人も含まれている。
先週、ロシアのラブロフ外相が「PKKは米国に利用されてきた。クルドの人たちは米国を信用してはならない。アフガニスタンの人々のように見捨てられてしまうだろう」などと発言して、トルコでは話題になっていた。(かつてはロシアもPKKを利用していたそうだけれど・・・)
米国はシリアでPKKへ武器を供与し軍事訓練を施すなどして支援を続けているという。
西欧各国も、クルド人の「政治難民」を受け入れ、PKKの活動を認めて支援してきたが、最近は、クルド人難民が社会問題を生じさせているため、受け入れを拒んでいるらしい。
まさか、そのために米国は、新たなPKKの拠点として日本を選び、政治的な圧力を加えているのだろうか?
一部の在日クルド人の尊大な態度を見ていると、「米国の後ろ盾があるから大丈夫」と高を括っているようにも思える。
しかし、ラブロフ外相が述べたように米国を信用してはならないだろう。ウクライナの人々も米国を信用したばかりに酷い目に遭っている。
もっとも、日本におけるPKKの活動を米国が支援しているというのは私の妄想に過ぎないかもしれないが、トルコとシリアで米国がPKKを支援してきたのは疑いの余地もない。
「米国が出て行かなければ、中東に平和は訪れない」というトルコの識者らの主張も間違っていないと思う。
PKKの活動を支援したり称賛したりするのは、中東の平和を乱すばかりか、日本にも大きな災いをもたらしてしまうかもしれない。