メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

昨年、「サウジアラビアグレゴリオ暦(西暦)を採用」というニュースがあった。サウジアラビアでは、女性の自動車運転を認める意見も王族から出ているそうだ。
やはり、このインターネットの時代に、厳しい戒律を一方的に押し付けるのは、もう難しくなって来たのかもしれない。
いつ頃からか、イスタンブールでも、ベールを被った女性旅行者の姿が、よく見られるようになった。もちろん、亭主と思しき男性と一緒に行動しているものの、そうやって多くのサウジアラビア人女性が外へ出始めれば、社会の様相も急速に変わって来るのではないだろうか?
ところで、私は、このグレゴリオ暦の使用について、長い間、大きな勘違いをしていた。イスラム教の国で、グレゴリオ暦を使っているのは、政教分離を成し遂げたトルコぐらいだと思っていたのである。
実際は、エジプトなどの国々でも、グレゴリオ暦は、イスラムヒジュラ暦よりも多く使われているらしい。確かに、ヒジュラ暦だけでは、海外と取引きしたりする場合も、非常に不便だったはずである。
また、ラマダン月が、グレゴリオ暦の上では、毎年11日ずつずれて行くように、四季の区別がつかないヒジュラ暦は、農業にも適していない。そのため、イランやトルコのような農業を行う地域では、昔から、イラン暦、ジャラーリー暦といった太陽暦が、ヒジュラ暦と共に使われていたという。↓

オスマン帝国では、ルーミー暦というユリウス暦を基にした太陽暦も使われていて、タンズィマートの改革以降は、ルーミー暦が公的な暦になっていたらしい。
その後、共和国革命を経て、グレゴリオ暦(西暦)となった現在のトルコでは、かなり宗教に熱心な人でもなければ、「今年はヒジュラ暦の何年?」と問われても、直ぐには答えられないだろう。
日本は、今でも公式には元号を使っているけれど、これもそろそろ見直すべきなのかもしれない。西暦を主にして、元号を併用するぐらいで良いのではないかと思う。
しかし、そうなると、日本の免許証を見せながら、トルコの人たちを驚かす楽しみがなくなって、寂しくなりそうだ。
生年の「昭和35年」という表記を示して、「えっ、1935年のはずがないし、何なのこれ?」と訊かれたら、「私の年齢ですよ」とつまらない親爺ギャグをかますのである。