メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

フィッシュ&チップス

先週の金曜日、“ギョズテペ公園”から“クズルトプラク”の辺りまで、あちこち歩き回っていて、“Fish & Chips”という店を見つけた。
その看板は、2年半ぐらい前にも、バスの車窓から見かけたことがあった。あれは、ベイオールにある“ザ・ジェイムズ・ジョイスアイリッシュ・パブ”で、“フィッシュ&チップス”を食べて間もない頃だった為、『おっ、ここにもあったぞ』と驚き、いつか来ようと思いながら、そのままになっていたのである。

 ジェイムズ・ジョイス・・・・”の“フィッシュ&チップス”は、厚い衣が油を吸ってべっとりとして、はっきり言えば、あまり美味しくなかった。
しかし、ロンドンで“フィッシュ&チップス”を食べたという日本人の友人に、「美味しくなかった」と説明したら、「ああ、それなら“本場の味”に間違いないですよ」と言われた。カラッと揚がって美味しかったら、それは紛い物らしい。
金曜日は、ちょうど昼前だったし、躊躇うことなく、“フィッシュ&チップス”に再チャレンジしてみた。
なにしろ看板は“Fish & Chips”であるし、店内にもロンドンの風景が描かれ、英国の雰囲気が演出されている。店主は、40歳ぐらいのトルコ人だが、以前はイギリス人の共同経営者がいたというから、“本場仕込み”には違いないだろう。
「完全なイギリス式ですか?」と店主に訊いたら、「まあ、少しトルコ風にしてあります。イギリスのは油が重たいんですよ」と笑っていた。
どうやら少し“紛い物”になっているらしい。これで、いくらか安心して、“フィッシュ&チップス”が出てくるのを待った。
それは、ちょっと洒落た紙の容器に入って出て来た。あくまでも装飾は、英国風に拘っているようだ。でも、味の方は、かなり軽く揚がっていて、確かに少しトルコ風だったかもしれない。
店主に「どうでしたか?」と訊かれたので、「ベイオールの“アイリッシュ・パブ”より遥かに美味かった。でも、普通にトルコの“メイハーネ(居酒屋)”でやっているみたいに、小さく切ってカラッと揚げれば、もっと美味しくなると思う」と率直に感想を述べた。
すると店主は、カラカラと笑い、「その“アイリッシュ・パブ”には行ったことありませんがね。イギリスでは、重たく揚げて、それに酢をかけて食べたりするんですよ。酢で油の重さが中和されますから・・・」と説明してくれた。
酢をかけて食べるなんて・・・。イギリス人は、勤労の精神を高めるために、わざと飯を不味くしているという“伝説”が、危うく信じられてしまうところだ。そんな本場のスタイルに拘る必要があるのだろうか。
しかし、この店のお客さんの大半は、近辺に住んでいるイギリス人である為、まったくのトルコ風にしてしまうわけにも行かないらしい。

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