トルコ初の国産自動車が、いよいよ量産システムを完成させて、来年の3月には市場にお目見えするという。上記の駄文に、設計はイタリアの「ピニンファリーナ社」によると記したが、これはボディのデザインと製造に関するもので、エレクトリックモーターやコンピューターシステムの多くは、トルコの技術によるそうだ。
こういった技術的な事柄については良く解らないものの、トルコの科学技術がこの10年ぐらいの間に飛躍的な進歩を遂げたのは確かであるような気がする。トルコが開発した無人の軍用機は日本でも話題になった。
初の国産自動車をいきなりEV車から計画したというのも、なかなか時代を先取りしている。充電施設の普及が追いつくのか心配になるけれど、今のトルコなら、驚くほど迅速に進めてしまうのではないかと思う。
おそらく、デジタル化等でも、トルコは日本の先を行っているだろう。先日、日本のメディアで「世界各国の電子カルテの普及率」という記事を読んだが、トルコの100%に対して日本は僅か30%に過ぎないらしい。
国産自動車を量産する「TOGG」は、アナドルグループを始めとする民間企業4社が各23%、残りの8%をトルコ商工会議所が出資して運営されるというけれど、産業技術省も相当な支援を行っているようだから、官民一体の事業と言って良いかもしれない。
このYouTube動画では、産業技術省のムスタファ・ヴァランク大臣がテレビ局の女性キャスターを同乗させて、自らハンドルを握り完成車を運転している。ヴァランク氏は米国のインディアナ大学で情報工学の修士を得たそうである。技術的な問題についても、かなりの部分を把握しているのではないだろうか。
動画では、加速性能を見せるため、突然急加速して女性キャスターを驚かせているが、普段から車を運転する機会も多いらしい。かつてのオザル大統領はスピード狂で知られていたけれど、ヴァランク氏にも同様の傾向が見られるのか気になるところである。
エルドアン大統領にスピード狂という噂は聞かれないが、イスタンブール市長に当選した1994年、トルコではその1ヵ月ほど前に登場したばかりの携帯電話を使っていたりして、新しいメカに強いところを見せている。
日本では小渕首相が秘書を通したりせず、直接電話をかけて「ブッチホン」などと呼ばれていたけれど、エルドアン氏は首相時代、報告書等に疑問点があったりすると、地方行政官を携帯で呼び出したりしたそうだ。そのため、行政官の任命式で「就寝中も携帯を切らないように、私が電話することもあるから」などと訓示したことが報じられていた。
2016年7月の「クーデター事件」では、生放送中の報道番組で女性キャスターのハンデ・フラット氏がスマホでエルドアン大統領に連絡し、大統領がスマホの画面を通して国民に呼びかけるという歴史的な一幕もあった。キャスターが大統領の携帯番号を知り得たというのも、なかなか興味深いことではないかと思う。