メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ソウルのカンジャン市場

ソウルでは、カンジャン市場もなかなか楽しかった。食材などを売る店が軒を連ねるアーケード通りの中央に屋台が並び、会社帰りのサラリーマンや若い人たちで賑わっていた。
韓国の人たちも、近年、焼酎のアルコール度数が下がったくらいで、ソフトな酒を好むようになったらしいが、アーケード通りには乾杯を繰り返して気勢を上げる声が響きわたり、相変わらず元気だった。
カンジャン市場の屋台は、屋台と言っても、各店にガスや水道が来ていて、すべて常設の店になっている。大きな屋台村のような感じだ。訊くと、この“屋台村”は、7~8年前に作られたらしい。私がソウルに居た頃は、所々に屋台が出ているだけで、普通の市場だったのだろう。
ガスや水道まで敷設されているのだから、かなり計画的に作ったはずだ。お陰で観光客も訪れるようになった。素晴らしい企画じゃないかと思う。
私たちも刺身の屋台に座って一杯やった。刺身は、マグロがルイベ状態(半分凍ったまま)で出てきたりして、お味の方は「?」だが、72歳になるという“アジュモニ(おばさん)”の笑顔と如何にも屋台らしい雰囲気は最高だった。
刺身は、千切り大根のツマではなく、なんだか春雨のようなものの上に盛られていて、にんにくとサンチュも付いて来た。
その“春雨”をつまんで食べながら、「これ何だろう?」と話し合っていたら、隣で一杯やっていた40歳ぐらいの2人組みサラリーマンがこちらを向いて、「スミマセン・・・ドウモ・・・」と日本語の単語を繰り返し、しきりに何か伝えたい様子。
「韓国語で言って下さい」と応じたら、「良かったあ。韓国語解るんですね。いや、それ食べない方が良いですよ。洗って使い回していますから・・・」と“春雨”を指差した。
屋台の裏が見える所に座っていた友人は、「もう見てしまったよ。多分、サンチュもそうじゃないか。道理でパリッとしている。何度も洗っているからね」と苦笑いしていた。しかし、私が若い頃、飲食店でバイトしていた経験から言うと、当時、日本の喫茶店等でも、パセリなどは当たり前に洗って使い回していて、それに慣れてくると、特別不衛生なことにも思えなくなってしまう。「飲食店で1年もバイトすりゃ、何でも食えるようになるさ」などと嘯いていたものだ。
サラリーマン氏に礼を述べると、彼らも「韓国語お上手ですねえ」と喜んでいた。韓国で、「スミマセン」「アリガトウ」といった簡単な日本語の挨拶言葉も知らない人は殆どいないような気がする。台湾もそうらしいが、これほど日本語が通じてしまう国は他にないと思う。
日本で、以前から韓国嫌いを表明していた知識人の方が、いつだったかネットの番組で語っていた。
長い英国暮らしから日本に戻って来たら、居酒屋などで酔っ払って「ギャー」と叫んでいる日本人を見て唖然としたそうである。「いつから日本人はこうなってしまったのか」と嘆いていた。しかし、徒然草にも、酔っ払って管を巻く連中を窘める話が出て来る。多分、相当昔からじゃないだろうか?
この方が、カンジャン市場で乾杯を繰り返して気勢をあげる人たちを見たら、肝を潰すに違いない。でも、我々日本人だって、昔から「ギャー」と飲んで来たわけだからねえ・・。申し訳ないけれど、それが嫌なら、英国にでも何処にでもお帰りになるのが宜しいんじゃないかと思ってしまった。

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