メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

「欧米人だったら、とっくに怒り出している」?

youtu.be

東京の松屋銀座に出店した「カラキョイ・ギュッルオール」のムラット社長は、並々ならぬ親日家であるようだ。そのため、欧米ではなく日本を海外出店先に決めたらしい。

上記のYouTube動画でも、その熱い思いを語っているけれど、そこには日本の文化への敬意、造詣の深さが感じられる。

私と同世代の「親日家」には、以下の駄文にも記したように、多少、日本を見下したところがあった。おそらく、欧米の視点で日本を見ていたからだろう。

それは、私たち日本人も同様だった。今でも同世代には相変わらずトルコを見下しているような人たちが少なくないかもしれない。しかし、若い世代には双方とも変化が見られると思う。

2010年、私がコーディネーターを務めた日本の紀行番組で、「カラキョイ・ギュッルオール」を紹介したけれど、もちろんトプカプ宮殿等々の名所も番組の大きな見どころとなっていた。

そのトプカプ宮殿の撮影では、事前に申請を済ませていたにも拘わらず、宮殿管理事務所側の手違いにより、かなりの時間、事務所の片隅で待たされてしまった。

この時、管理事務所の責任者である年配の女性は、準備を怠っていた若い部下をたしなめながら、「日本人で良かった。こんなに待たせてもニコニコしているでしょ。欧米人だったら、とっくに怒り出しているわよ」と言ったのである。

トプカプ宮殿には、欧米からも多くの取材班が訪れていたに違いないが、どうやら彼らは随分と横柄な態度を取っていたようだ。欧米人は、トルコを少し見下すどころか、完全になめきっていたらしい。

多分、「カラキョイ・ギュッルオール」にも、そういう欧米の取材班一行が来ていたのではないだろうか? ムラット社長が、欧米ではなく、日本への思いを深めて行った背景には、そんな要因も潜んでいたかもしれない。

私たち日本人に、アジアの国々を見下すようなところがあったとしても、欧米人ほどではなかったはずである。そういった紳士的で生真面目な気質を今後も友好の進展に活かせたらと思う。