メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ロシアの「切り札」?

この「ゼレンスキー大統領が辞任か?!」という駄文は、もちろんエイプリルフールの冗談、無い知恵を絞ってみたけれど今年もこんなネタしか思いつかなかった。

しかし、一方的にロシアの邪悪性を強調しながら、そのロシアが間もなく崩壊するかのように伝えている報道は、何処までが事実なのか良く解らない。「狂ったプーチン」といった報道の中には、まるでエイプリルフールのネタみたいな話もある。なんだか全てが米国のプロパガンダであるかのように思えてしまう。

YouTubeでトルコの時事討論番組を観ても、やはり多くの識者がウクライナ侵攻を非難した上で、ロシアはかなり困難な状況に陥っているのではないかと論じているけれど、確認されていない情報については、「この情報が事実であれば・・・」と断ったりして、一方的な決めつけは避けている。

米国から提供された衛星画像が示されると、「それ本当にキエフの近郊なの? 位置とか確認できるの?」なんて訊き合ったりする。

一方、断固反米を貫き親ロシア・親中国の姿勢で知られるドウ・ペリンチェク氏が率いる報道機関アイドゥンルック紙(Aydınlık gazetesi)ウルサル放送(Ulusal Kanal)などは、まったく別の世界から報じているかのようだ。

ウクライナ侵攻がロシアの思い通りに進んでいない状況が伝えられる中でも、ペリンチェク氏は「米国に与えられる全ての打撃が私に喜びを感じさせる」なんて述べていた。

これには思わず『ええっ? 打撃を受けて損害を被っているのはロシアの方でしょ?』と呆れてしまったけれど、ロシアが天然ガスルーブル支払いを決定して、ルーブルが上昇の傾向を見せると、中立的に論じていた識者の中からも「ロシアが有利な状況に転じるかもしれない」という声が出始めている。

もともと、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切った要因として、「数年後、西欧はロシアの天然ガスに依存している状態から脱却できる可能性があり、そうなるとロシアは『天然ガス』という切り札を使えなくなってしまう恐れがあるので焦っていた」という説が論じられていた。その「切り札」をいよいよロシアが行使したということなのだろうか?

いずれにせよ、トルコの立場としては、一刻も早い停戦・和平を望んでいるに違いない。そのため、なんとかトルコで首脳会談を実現させようと仲介に努めている。戦争が長引けば、トルコが被る経済的な損失も大きいからだ。

4月に入り、イースター休暇の季節が迫って来た。正教会は24日にイースターを迎える。例年、この時期になると、ウクライナとロシアから多くの観光客がトルコを訪れていたけれど、今年は難しいかもしれない。

ウクライナの人たちも平和なイースターを切に願っているだろう。少なくとも、それまでに一時的であっても停戦が得られたらと思う。