メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

人生酒場

昨日は、職場が休みだったので、雨の中を三宮へ出た。

夜9時近くになって、何処かで軽く飲みながら食事しようと思ったところ、多くの店で「オーダー終了しました」とか「持ち帰りのみですが」とか言われて驚いた。

うちにはテレビがないし、ネットで読むニュースも限られているため、まったく気がついていなかったけれど、世間はまたしてもマンボウとか何とかで大騒ぎしているらしい。

トルコのニュースは、ある程度チェックしていて、コジャ保健相が「コロナは既に普通の風邪。最近は他のインフルエンザでも死者が増え始めている」と発言したのは知っていたが、日本の日々のニュースで必ずチェックするのは、大相撲本場所中の勝敗ぐらいになっていたのである。

仕方なく、雨の中、営業中の店を探して歩くと、普通にやっている店も結構あった。しかし、何処も満席で入れない。

先々週、難波の居酒屋が夕方の5時前から満席になっていたのに驚いたけれど、あれは終了時間が早まった分、飲み始めるのが早くなっていただけなのかもしれない。

それから少し場所を変えて、元町の方へ向かったら、直ぐに煌々と輝く「人生酒場」のネオンが現れた。ここは韓国料理の店で、ネットでも「美味い! 安い!」と評判である。

『なんだ、こんな所にあったのか!』と、最初からここを目的に歩いて来たかのように店へ飛び込むと、1~2階は満席でも3階の席なら空いているという。エレベーターがないので、嫌がる客もいるようだが、私は10階でも登ったと思う。

1階から3階まで、どの席も若い人たちで豪快に盛り上がっていて、まさしく人生酒場だ。ここには確かに「人生」がある。

周囲の壁には、色んな文句がハングルで記されていて、「今日、飲み干す酒を明日に延ばしてはならない」なんていうのもあった。なんだか、「天国の酒より、今ここにある一杯が良い」とか歌ったハイヤームの詩みたいである。

ひと昔前なら、こういう店には韓国語学習者が集まっていたかもしれないけれど、隣席の若いカップルに訊いても、ハングルは既にお洒落なファッションになっているようだった。

彼らはハングルを全く読めなかったし、「読んでみよう」という学習的な興味もなさそうだ。お洒落な雰囲気で料理が美味ければそれで良いのである。私が「良い時代になったなあ」と爺臭く呟いたら、「キャハハハ」と笑ってくれた。

まあ、マンボウも悪いことばかりじゃない。マンボウがなかったら、昨日、「人生酒場」まで行き着くことはなかっただろう。

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