メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

私が乗っていた高級車とは?

今年から始めた配送の仕事、運んでいるのは「カー用品」と言われる物だけれど、私にはそういった商品の知識が全くない。

普通、トラックの運転手などをやっている人たちは、車好きでカー用品にも詳しかったりするから、意外に思われているようだ。

しかし、私にとって車の運転は、あくまでも手っ取り早く収入を得られる手段に過ぎず、休日に車を運転するなんて沙汰の限りであり、車を購入したいとは一度も思ったことがなかった。

もちろん、カー用品などには全く興味もなく、車について解っているのは、自動車メーカーとそのエンブレムぐらいで、車種を問われても答えられない。警備員をやっている時は、それで困ったりした。

駐車場の車について説明しなければならない場合があるからだ。

「えーと、トヨタの車です」、「車種は?」、「車種って何処に書いてあるんですか?」なんて漫才のようなことをやっていた。

レクサスに関しては、エンブレムも解らず、「ローマ字のLみたいなマークがついている奴」と言って笑われたりした。

トルコに居た頃は、日本の車の価格を良く訊かれた。これは、トルコの人たちが日本人に訊く最も多い問いの一つではないかと思うけれど、いつも「興味がないから調べたこともない」と答えて不思議そうな目で見られていた。

いつだったか、金融関連の調査でトルコを訪れていた日本企業の人たちに随行していた際、休憩時間に車の価格が話題になったことがある。

金融関連の業界は収入も良かったらしく、皆さん未だ30代ぐらいなのに、日本では300万~400万円もする車に乗っている方も多く、なんだか高級車を自慢する展開になっていた。

もう一人通訳で随行していた日本人女性も「日本に居た頃は・・・」なんて話していたが、私は全く蚊帳の外で、誰一人、私に『貴方の乗っていた車は?』と問おうとはしなかった。

如何にも貧乏たらしかったため、『恥をかかせたら可哀そうだ』と思われたのかもしれない。

そこで私も、会話が途切れるのを待って、おもむろに口を開いた。「私が日本で乗っていた車は1200万円ぐらいするらしいですね」。

一瞬の沈黙の後、驚きの表情を浮かべた一行の1人から、「そ、それはいったい何という車ですか?」と訊かれたので、少し間を置いて、悠然と答えてやった。

「日野の10tダンプです!」。一同爆笑だった。

*車の運転で収入以外に興味があるのは、眺められる街の光景とか、旅する気分といったところかもしれない。だから渋滞も楽しかったりする。

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