メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコのジャーナリストの醜態

昨年の12月17日、ガジアンテプ県の女性知事ファトマ・シャーヒン氏にインタビューを試みたジャーナリストが、放送中にカメラマンを平手打ちにするという事件があった。

その時は記事だけ読んで特に関心も持たなかったけれど、先週、以下の動画を見て、ちょっと興味を覚えた。

まずは、このジャーナリスト、ムハレム・サルカヤ氏の醜態に唖然とする。カメラマンを手で押しのけて(平手打ちではない)からも、興奮冷めやらぬまま身振り手振りでスタッフを呼んだりして、なんとも異常な雰囲気である。

カメラマンの発言によると、スタッフとの連絡用に局側が用意した携帯をサルカヤ氏は使おうとせず、自分の携帯を使用することに固執したため、収録中に携帯の音声に問題が生じたので、最も近い位置にいたカメラマンが局側の携帯と取り換えようとしたところ、突然、サルカヤ氏は激昂したらしい。

一方、この一部始終を間近で見ていたシャーヒン知事が、何の反応も示すことなく、そのまま答弁を続けた姿勢も話題になっているようだ。

「直ぐに席を立つべきだった」とか「この女性には血が通っていないのか?」と非難する声も上がっているが、「だからと言って何ができたのだ? サルカヤ氏を引っ叩けば良かったのか?」と擁護する向きもある。

当事者のカメラマンは、「私は知事に対する敬意があるから、撮影を継続させるため、直ぐ自分の持ち場であるカメラの前に戻った。知事も放送業界の人のような冷静さでプログラムの進行を妨げなかった」と語っている。カメラマンによれば、シャーヒン知事は、放送終了後、「こんな手や腕を振るう人間の番組に私を出演させるなんて・・・」と言って局を後にしたそうだ。

まあ、知事にしてみれば、広報に役立つ番組で非常に有用ではあるけれど、忙しい時間を割いて来ているのだから、さっさと収録は終わらせてもらいたい、ジャーナリストの醜態などには構っていられないということなのだろう。

実のところ、この事件で最も哀れなのは、ジャーナリストのサルカヤ氏に他ならないと思う。氏は批判の高まりに抗し切れず辞任したばかりか、おそらくはジャーナリズムの世界から永久に追放されると言われている。

そもそも、放送ではシャーヒン知事が写っていただけであり、舞台裏が暴露されたのは数日後らしい。多分、多くのスタッフや周囲の人たちがサルカヤ氏に不満を持っていて、『醜態を公開してやれ!』ということになったのではないかと思う。

そのため、「コロナで気持ちが変になっていたのでは? 自分の携帯に固執したのもコロナの所為では?」とサルカヤ氏に同情するジャーナリストもいる。

サルカヤ氏は1960年生まれの61歳(私と同い年!)、この歳になって、あんな風にはなりたくなかったはずだ。

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