メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

アナルセックスは健康に良くない?

《2003年5月6日付け記事を再録》

韓国人の友人の事務所では、思わぬ一面を見せてしまったリビア人のハシムだが、普段は朗らかで礼儀正しい青年である。「イスラムは愛の宗教、寛容の精神が大切なんです。敬虔なムスリムならば人を憎んだりはしません」と良く話していた。
ところが、あの一件から数日前のこと。ハシムと雑談しながら、結婚前の男女関係について訊いて見たところ、
「もし、僕の妹が結婚前に男と肉体関係を持ったとしますね。その場合、まず妹を殺します。それから相手の男が世界のどこへ逃げようと必ず探し出して殺します」
私は思わず目が点になってしまい、
ムスリムは人を憎んだりしないのではなかったのですか?」
するとハシムは慌てることもなく、
「もちろんですよ。妹やその男には何の憎しみもありません。男を見つけ出した時、彼が、久しぶりに会ったのだから話したいことがあると言えば、一緒にお茶を飲んでもいいんです。でも、その後で必ず殺します。これはきまりなので、こうするより他ありません」
もっとも、ハシムにとって、妹が貞操を破るなどということ自体、現実には起り得ないから、これは、単なるお話として聞いた方が良いのかも知れない。それにしても、あの受付の女性に自分と同じ様な兄がいるとは考えなかったのだろうか?

トルコの人達に訊けば、「そういう話はアラブの風習から出たものであり、イスラムとは何の関係もない」と言われる。しかし、クズルック村の辺りなら、まさか娘や妹を殺したりはしないだろうが、相手の男に危害を加えることは充分ありそうだ。
これが、イスタンブールイズミルのような都会になると、高校生の不純異性交遊なんていうものが話題になるくらいで、全くの別世界。トルコでは猥褻出版物などに対する規制に関して日本より甘い部分もあり、テレビのスイッチを入れれば、日本なら間違いなくカットされるような場面も出て来る有様(*これは2003年頃の状況で、現在はかなり厳しくなっている)。この中で、伝統に忠実な若者達が貞操を守ろうとするのは並大抵のことではないかも知れない。

大衆紙(ヒュリエト紙)の悩み相談コーナーに、こんな質問が出ていたこともある。
「私は20歳の男子で同い年の婚約者がいます。彼女は神の許しがあるまで処女を守りたいと言い、私も同じ考えです。それで、私たちは今、アナルセックスで我慢しています。これは彼女の健康に悪いでしょうか?」
これには唖然としたが、このコラムを担当している医師の回答もなかなかふるっていた。
「あなた方の行為は変態そのものです。これを変態と言わずして何を変態というのでしょう」
そこまでしたら同じことだから、普通にセックスを楽しみなさいとは勧めていない。そう言ったところで彼らが納得しないと思ったのか、この医師自身、あくまでも処女は守るべきと考えているのか、いずれにせよ医学的にではなく、倫理的にこの行為を否定しているのは確かだった。  

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