メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

「テルアビブの女たち」

今朝、「テルアビブの女たち」というイスラエルの映画をトルコ語吹き替え版で観た。(トルコ語の表題は「Duvarlar Arasında」:壁の間で)

テルアビブのアパートで同居しているレイラ、サルマ、ヌールという3人のパレスチナ人女性が、男性権威的な社会に抵抗する姿を描いている。

テルアビブの街の様子、人々の仕草、ダンスの踊り方等々はトルコと殆ど変わらないように思えた。トルコ語の吹き替えで観ていると「トルコを舞台にした映画じゃないのか?」と何だか勘違いしてしまいそうである。

信心深いヌールが礼拝のための清めを行っているのを見て、レイラは「何時の礼拝なの?」とサルマに尋ねるが、トルコにも礼拝の時間や作法が解らなくなっているイスラム教徒は少なくない。

「私に解るわけがない」と答えるサルマがキリスト教徒である点も興味深かった。

サルマは働いていたレストランで店長から「アラビア語で話すな!」と叱責されていたけれど、おそらくこの部分の会話はヘブライ語だったのだろう。

他にも、アラビア語ヘブライ語が交互に現れる場面はいくつかあったに違いない。しかし、全てトルコ語の会話に吹き替えられてしまっているので、その辺りの所は良く解らなかった。

イスラエルは、周辺地域に比して、生活水準が著しく高くなっているため、イスラエル国籍のパレスチナ人はそれほど不満を持っていないとも言われているけれど、それはこの映画からも伝わってくるような気がした。

上述したように、イスラエルとトルコは様々な面で良く似ている所為か、政治的な対立はともかく、商取引を始めとして人的な交流はかなり盛んなようである。

2014~2016年、多発したテロのため、トルコを訪れる観光客が激減した時も、イスラエルからは多くの人たちが来て、トルコ旅行を楽しんでいたという。

私のトルコ人の友人は、2017年頃だったか、かなり長期にわたってイスラエルに出張していた。

トルコとイスラエルの政治的な対立は、パレスチナの問題が解決されない限り終わらないかもしれないが、人々の交流はこれからも一層活発になって行くと期待したい。

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