メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

森元首相の印象

森元首相の女性に関する発言が批判されている。確かに失言だったとは思うが、森元首相個人を血祭りにあげたところで「女性差別の問題」が解決するわけでもないはずだ。

おそらく、「森氏を攻撃している人たちの気分が晴れる」「マスコミの仕事が増える」「失言する人が少なくなる」といった効果が得られるだけではないのか?

失言が少なくなれば、かえって本音が見えなくなってしまうだけかもしれない。多くの人たちが、言われなくても自分で納得して意識を変えない限り何も変わらないだろう。

また、以下の駄文に記したけれど、女性の地位を高めようと言っても、中間管理職が過酷な残業を強いられる現状では、女性が子育てしながら昇進を果たそうとしたら、普通の2倍も3倍もタフでなければ持たないと思う。

そういうタフな人間(男女とも)が出現する確率は低いから、企業はやはり男性から採用したくなるような気がする。それに「男女平等」と言うのであれば、長距離トラックの運転や土木作業にも女性の進出を期待したいが、そういう声は余り聞かれない。

一方、森氏について、私はマスコミで報じられている以外に何も知り得ないけれど、印象としてはかなり良いほうである。

あれは、2010年か11年頃と記憶しているが、インターネットで韓国のニュースを観ていたら、脳梗塞で倒れた金鍾泌元首相を見舞う森氏の姿が動画で紹介されていた。

森氏は遥かに年長である金鍾泌氏に対して、敬意を込めて「先生」と呼び掛けながらも、そこには何とも言えない親密な雰囲気が漂っていた。金鍾泌氏も流暢な日本語で楽しそうに応じて、まるで旧友を遇するかのようだった。実際、長い付き合いがあったのではないかと思う。

それから、来日したプーチン大統領講道館を訪れた際、サプライズで待ち構えていた森氏を見るや、手を広げ満面の笑みを浮かべて歩み寄った。あれも旧友に再会した時のような笑顔だった。

まあ、悪く言えば「人たらし」なのかもしれないが、「人たらし」は政治家の大きな資質の一つに違いない。

特に、金鍾泌氏を見舞った一件など、日本では報道されていなかったようだし、そこには政治的な利得など全く絡んでいなかったはずである。

現在、83歳の森氏が人工透析を受けながら、それこそ命懸けで奮闘している背景にも政治的な野心などはないと思う。あと何年生きられるのかも定かではないのに、いったい何の野心があると言うのだろう?

それをちょっとした失言から寄ってたかって袋叩きにするなんて、私はこちらの方に怒りを感じてしまう。

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