メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

コロナと戦後の平和という「嘘」

スウェーデンは、2000年に徴兵制を廃止したものの、2018年になって隣国ロシアの軍事的な脅威が高まると、これを復活させたそうである。こういった敢然とリスクを負う姿勢が、今回のコロナ対応にも反映されているように思われてならない。

移民に対してもリスクを承知で思い切った寛容政策を取っている。繁栄と平和を継続させるために、リスクを負い何らかの代価を支払うのは当然と考えているのではないか。

戦後の日本は、米国の軍事力により維持されてきた国際秩序の中で、長い間、自らリスクを負わずとも平和に過ごせた所為か、コロナという災いに対してもゼロリスクで切り抜けようとしてしまうのかもしれない。

また、戦後、日本の繁栄のために代価を支払わされたのは日本人だけではなかっただろう。繁栄の最初のきっかけとなった朝鮮戦争では多くの韓国・朝鮮の人々が犠牲になった。米国人はもちろん、遠くトルコからやって来た軍人も犠牲になっている。

その後も米国は、国際秩序を守るためと称して、多くの過ちを犯したけれど、その度に自らリスクを負い、相手国の膨大な被害に比べれば少ないとはいえ、犠牲も払って来たのである。

日本の繁栄と平和は、それと決して無縁ではなかったはずなのに、自分たちはまるで「罪なき平和の民」であるかのように振舞って来た。いったい、この「嘘」をいつまで信じ続けることが出来るだろう。

戦前の日本人は、繁栄のために大陸への侵略を繰り返したが、そのために自ら恐ろしい危険を冒したのだから、今の私たちより遥かに立派だったと思う。最後は米国とやり合って凄まじい犠牲も払わされている。

戦前の侵略、植民地支配を反省(あるいは他人事のように非難)して止まない方たちがいるけれど、それほど酷いことをしたと思っているのなら、何故、仕返しされるかもしれないという恐れを感じないのだろう。ここにも怪しげな「嘘」が含まれているように思われてならない。

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