メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

同調圧力

先週、ようやく昨年末から読み続けていた「翔ぶが如く」を読了した。

西南戦争」で薩摩軍は異様な強さを発揮したという。突撃の際、我先にと敵陣へ斬り込んで行ったそうだ。一方、防戦で持ちこたえられずに崩れ始めると、今度は脱兎の如く逃げ出したらしい。これを司馬遼太郎は、いずれの場合も仲間に遅れまいとする意識のためではないかと解説していた。

私は、最近のコロナ騒ぎの記事を読んでいた所為か、その「仲間意識」の強さを『ひょっとして同調圧力によるものではないか?』などと考えてしまった。これでは薩摩の武人たちに甚だ失礼であるかもしれないが、現在論じられている「同調圧力」も、やはり相反する方向で同様に作用するような気がする。

今は「コロナで人を死なせてはならない」という方向に作用しているものの、例えば、戦前は「国のために皆死ななければならない」という風に作用していたのではなかっただろうか?

「平和ボケ」なんて言われているけれど、この「同調圧力」が逆の方向に作用すれば、たちまち戦闘意欲に満ちた集団が出来上がるかもしれない。実際、「自粛警察」という現象には、戦前の「隣組」を連想させるものがある。これがそのうち、中国や中国の人々に対する敵意を高めるために使われないだろうかと考えたら、思わずゾッとしてしまう。