メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

なんで「緊急事態宣言」なのか?

結核による死者は、日本でも毎年約1500人に及ぶという統計上の数字はともかく、私は日本に結核が未だ存在している事実さえ一昨年になるまで知らなかった。

一昨年、福岡でネパール人就学生らを配送センター等へ送迎していた頃に、二人のネパール人就学生が結核の疑いで隔離されたため、結核というのが過去の病気ではないとようやく知らされた次第である。就学生の内一人は、1週間ほどで疑いが晴れて現場に復帰したものの、もう一人は治療が終わるまで2~3カ月隔離されたうえ、体調が回復してからも現場に戻ることはなかった。真面目で良く働く就学生だったので、とても可哀そうな気がした。

狭い送迎車の中で毎日のように接触していた私にも結核菌は移って来ていたかもしれないけれど、私は子供の頃にBCGを接種していた所為か、もちろん何の症状も出なかった。しかし、私の方も酷い風邪(あるいはインフルエンザ)で38度ぐらいの熱が出ていたにも拘わらず、送迎車の運転は代わりの人員もいないため継続していたことがあるからお互い様だろう。小さな会社は予備人員など持たないギリギリのところでやっているため、そう簡単に休めない。私は福岡の2年間で冬になる度、発熱を伴う風邪をひいたが、送迎の方は決して休まなかった(あるいは休めなかった)。配送センターの仕事を免除してもらうだけである。

昨年(2019年)の正月は、帰省していた屋久島で発熱し、正月休み明けも、暫くは配送センターの仕事を免除してもらった。数日後、ようやく配送センターの仕事に復帰したけれど、正月とあって荷物の量は非常に少なく、未だ鼻水を垂らし、咳をゴホゴホさせながら手持ち無沙汰に立っていたところ、部署のトップの方が近づいて来て、「寒そうだねえ」と仰るので、『休憩室で休んでなさい』と来るのかと思ったら、「裏にトラック一台入ったから降ろして来て。体が温まるよ~♪」でずっこけてしまった。トップの方は元プロ野球の選手だから、『風邪なんてものはトレーナー着込んでグラウンドを走れば治る!』という発想なのだろう。でも、実際、それで治ってしまうこともある。体温を上げて免疫力を高めるのが要点らしい。

現在の職場も予備人員が余りいなくて、おいそれと休めない状況は同じである。しかも、人前に立つ仕事だから、鼻水垂らしたり咳き込んだりするわけにもいかない。それで、コロナ以前に、風邪など引かぬよう寒くなり始めた11月頃から非常に気をつけている。幸い、福岡の頃のように身体に無理が行くような仕事じゃない。24時間勤務とはいえ、仮眠時間もあるし、休養日に充分睡眠時間を確保することもできる。

経験上、風邪を引くのは、睡眠不足等が続いて『疲れている』と感じた時ばかりである。後は、寒冷が大きな要因だろう。そのため、睡眠時間と体を温めることには特に留意している。それから、免疫力の低下を恐れてアルコールも止めてしまった。体力維持のための運動も心掛けている。お陰で今冬は全く風邪を引いていない。

他人との接触を避けて外出をなるべく控えても、睡眠不足や喫煙、過度の美食に飲酒と体に悪いことばかりしていたら、その方がよっぽど危ういような気もする。現状、通勤時はかなり混んでいる電車に乗らなければならないため、他人との接触を避けるのは無理である。それ以上の接触、必要以上に接近してお話したり、相手の体に触れたり抱き合ったりというのは残念ながら全く機会がない。お金を払えばやらせてもらえるお店には30年ぐらい行っていない。これからも行くつもりはない。

私は20年にわたってトルコで暮らしながら、ハグやら握手といった「濃厚接触」の風習が好きになれなかった。触れたり抱き合ったりするのは好意のある女性だけで良い。その他はノーサンキューだ。

「濃厚接触」を避けたりする日本の習慣が、コロナの被害を少なくさせている要因の一つであるのは確かかもしれない。しかし、それだけじゃないだろう。韓国のように「濃厚接触」の習慣がある国でも重篤化は抑えられている。BCGや結核罹患率と何か関連があるかどうかは解らないけれど、重篤化しない他の要因があるのは間違いないように思える。 

また、欧米より日本の方が感染の始まりが遅かったという説は、中国との交流が密な日本の立地を考えたら肯定し難い。感染者数が後から増えたのは、PCR検査とやらを以前余りしていなかった所為だろう。そもそも、重篤化しなければ、普通の風邪と症状はそれほど変わらないのだから、検査する必要はあるのだろうか? 私は風邪やインフルエンザで、要因となったウイルスが何であったのか検査したことなど一度もない。コロナ以前は私に限らず、多くの人たちが同様だろう。だから、ウイルスの種別によって感染者数を出している統計の数値が余り当てにならないのは確かだと思う。

しかし、それなら何故、政府は「緊急事態宣言」に踏み切ったのか? これから後は、私の「妄想」と思って頂いても良いが、仮に政府が今の時点で「コロナ事態の収束」を宣言してしまうと、先に収束宣言を出している中国に同調したと思われかねない。中国に同調して、コロナの数百倍恐ろしいUSAの機嫌を損ねるのはもっと不都合である。暫くは実効力のない「緊急事態宣言」でUSA寄りの姿勢を明確にさせた方が良いかもしれない。