メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

武漢/新型コロナウイルス/世界三大料理と変わった食材

武漢で発生した新型ウイルス肺炎の騒ぎ、どれほど危険な状況なのか医学的な専門知識のない私には、入り乱れる情報の是非も判断し難い。

とりあえず普段通り生活しているけれど、幸いなことに今のところ新型はもちろん、インフルエンザにも風邪にも罹っていない。至って健康な日々を過ごしている。

イスタンブールにいた頃は冬場によく風邪を引いたが、あれは家の暖房、特にシャワー室の寒さが問題だったのではないかと思う。

この高砂市のアパートは、暖房も申し分ないし、バスタブもあって毎日ゆっくり熱い湯に浸かれるところが有難い。これなら寝酒など飲まなくても良く眠れる。こうして免疫力を高めておくのが何よりの予防であるような気がする。

先日、発生元の武漢に関する報道で、あの黄鶴楼が武漢に所在していることを知った。高校で習った漢文はもう殆ど忘れてしまったが、黄鶴楼に纏わる李白の詩は今でも良く覚えている。騒ぎが収まったら訪れてみたいけれど、私の財政難の方はいつ収まるのか見当もつかないので、なかなか難しいかもしれない。 

報道によれば、発生の原因は食用の野生動物の取り扱いにあったらしい。そのため、当局は野生動物の売買を禁止するといった対策を打ち出しているそうだが、そうなれば闇で売買されるだけのような気もする。販売業者の管理を強化するやり方に留められないものだろうか?

私が生まれ育った東京の墨田区には、「ももんじや」という野生動物を扱う老舗料理屋があって、店頭には皮も剥いでいないイノシシなどがそのまま吊るされていたりした。私もそこで熊やら鹿やら一通り食べてみた。今風に言えば「ジビエ料理」だろう。

私は今でもベトナム料理屋で「孵化しかけ卵」を試してみたくなるくらいで、それまで食べたことのない珍味やゲテモノを見ると好奇心を抑え難くなってしまう。中華に変わった食材が多いのも、そういった好奇心の成せる業に違いない。

しかし「燕の巣」とか、そんなものまで食材にしてみようなんて良く思いついたものである。フランス料理にも「ジビエ」はあるし、カタツムリとか鳩とか色々変わった食材があるようだけれど、やはり中華には及ばないのではないかと思う。

一方、中華とフランス料理に並んで「世界三大料理」の一つとされるトルコ料理には、変わった食材と言えるようなものが殆どない。ゲテモノ好きの私はがっかりした。肉は牛と羊にヤギ、鶏と七面鳥ぐらいで、鴨でさえ珍味の扱いだったような気がする。ヤギも西部地域ではまず見かけることがなかった。

宗教的な制約があるのは、豚と血に限られているはずだが、熊とか鹿も嫌がられるだろう。可愛らしい鳩などもってのほかであり、「犬を食べる」なんて言ったら、それこそ卒倒しそうになる。

トルコ料理は、使われるスパイスも余り刺激的なものは少ないように思える。特に辛い料理もそれほどない。エスニック料理という雰囲気からはほど遠いのではないか。そもそも「世界三大料理」の一つをエスニック料理に数えるのが間違っているだろう。

そのため、日本からトルコに来た人たちは、大概、「どの料理も食べやすくて美味しい」と言ってくれたけれど、私は滞在期間の長かったトルコと韓国の料理を比べたら、変わった食材も多くて刺激もある韓国料理の方が断然魅力的だと思っている。

しかし、今頃トルコの人たちは「やっぱり普通の食材が良いんじゃないの? 変なものを食べちゃいけませんよ」と安堵しているかもしれない。