メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

「孵化しかけ卵」で思い出したこと

先日、ベトナム料理の「孵化しかけ卵」を食べて、20年ほど前、トルコの農村で犠牲祭の儀式に立ち会った際の出来事を思い出した。その儀式では、牛と羊が捧げられたけれど、皮を剥ぎ内蔵を取り出す段階になって、屠られた雌羊に胎児が宿っていたことが明らかになったのである。

屠殺から解体を取り仕切っていた人たちは、「良く調べなかった私たちの責任だ。とても可哀そうなことをした」と悔やみ、胎児を取り出すと丁重に埋葬して祈りを捧げていた。聖典にそういう記述があるのか、伝統的な認識なのか解らないが、どうやら身籠っている動物を犠牲として捧げてはいけないらしい。

これでは、「孵化しかけ卵」を食べてしまうなんて沙汰の限りに違いないだろう。不信心なトルコ人はともかく、信心深い人たちであれば、写真を見ただけでも嫌悪感を催したのではないかと思う。