メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコはベネズエラのような“反米”じゃない?

 トルコのメディアを見ていると、ベネズエラの混乱はアメリカの中国包囲網戦略によるものだという説も出てくる。
アメリカは、かつて日本に対してやったように、いざとなれば中国への石油供給をストップさせるつもりらしい。そのため、イランやベネズエラを締め付けて、ここから中国へ石油が供給されるのを防ごうとしている・・・。
しかし、中国の新疆省には相当な石油が埋蔵されているそうだ。これでは、外国からの供給を断っただけでは意味がないだろう。良く解らないが、新疆省におけるウイグル人弾圧の問題が大きくクローズアップされてきた背景には、こんな要因が潜んでいるのかもしれない。
あるウイグル人によれば、現在、ウイグル人の中に過激なイスラム主義思想によって中国支配へ抵抗を企図する集団がいるとしても、それは、飲酒も広く見られるほど緩やかだったウイグルイスラムを、共産主義イデオロギーで弾圧して反発を招いた中国政府に責任があるという。
彼は、そういった宗教弾圧の問題を除けば、ウイグル人と漢族の間に民族的な対立などなかったと述べていた。また、宗教に関しても共産主義以前の中国は、結構寛容だったのではないだろうか?
イスタンブールのゼイティンブルヌという街には、以前よりウイグル人が多く住み着いていたけれど、最近は漢族の人たちも少なくないようである。
彼らは共に中国・トルコ間の貿易事業に携わっていたりするので、同じ街で暮らしていても全く不思議ではないが、私も数年前にゼイティンブルヌで漢族の人たちと出会って、何だか奇妙に感じてしまった。中国におけるウイグル人の民族問題には、少なからず関心を持っていたからである。
ウイグル人たちは良く民族問題を主張しているが、彼らは漢族と仲良く商売しているじゃないか」と指摘するトルコの人もいる。
トルコ政府は、こういった状況や中国との交易による利益を考えた所為か、ウイグルの問題には殆ど立ち入ろうとして来なかったのに、「ウイグル人弾圧は人類の恥」とまで非難して、急に態度を変えて来ている。
これはやはり、米中対立の構図の中で、あくまでもアメリカ側に立っていることを強調するためだったような気がする。
国益を損なわぬよう現実的に考えるならば、正邪・善悪よりも、どちらが強い力を持っているのか分析しなければならない。トルコ政府は、アメリカこそが“官軍”であると判断したのではないだろうか?
そもそも、そういった判断が的確で決して誤りそうもないイスラエルが未だアメリカと強力なタッグを組んでいるのだから、トルコの判断も間違ってはいないように思える。
merhaba-ajansi.hatenablog.com