メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

作業着

派手に汚れてしまった作業着は、洗濯しても元のようにはならない。泥はある程度落ちるものの、草の汁がこびりついたシミは、何かで染めたみたいに残ってしまう。
洗濯する前の状態はなかなか凄かった。それが雨に濡れたように汗でびっしょりになったまま、コンビニなどに入ったら迷惑じゃないかと思ったけれど、何処でも嫌な顔はされなかった。
さすがに、あそこまで汚れた作業着で混んでる電車に乗る気はないが、日本では作業着のまま通勤する人もいるだろう。
トルコの工場へ修理等で短期出張に来た日本の技術屋さんたちは、現場での作業がパソコンを操作するだけであっても、宿泊先のホテルから作業着で出動していた。
ホテルのトルコ人スタッフらは、それを奇異な目で見ていたかもしれない。トルコでは、工事現場の土木作業員であっても、作業着で通勤することは殆どないからだ。大概、カジュアルな服装で通勤して、現場に来てから着替える。
私は、イスタンブールで工事現場の通訳を務めていた時、歩ける距離なら、平気で作業着のまま通勤していた。
現場通訳と言っても、一緒に作業して泥やセメントをこびりつかせていることもあったので、時として、道行く人たちの奇異な視線を感じなければならなかった。ガラタ橋で、「どうしたんだ?」と詰め寄って来る男から逃れるのに苦労したこともある。
どうやら、トルコで作業着姿の印象は、余り良くないらしい。クズルック村の工場(邦人企業の工場)でも、当初、大卒のエンジニアは勤務中の作業ユニフォームに抵抗したそうだ。
ホワイトカラーであるはずなのに、ブルーカラーみたいで格好悪いということだったのかもしれない。そんな大卒エンジニアが、共産主義思想にかぶれていたりしたのだから、トルコのサヨクはちゃんちゃら可笑しかった。
トルコではなく、昔、韓国で聞いた話だが、工事現場の作業員と無職であれば、無職の方が印象も悪くなかったという。財産があって、何もしないで食べて行けるのは、汗にまみれて働くより世間体も良かったらしい。
日本では、全くの無職じゃないフリーの仕事であっても、世間体は余り良くないような気がする。毎日、労働していないのはもちろん、所属がないという状態は、認知され難いと思う。
私も、会社のネームの入った作業着で汗にまみれて働き、ようやく世間から少しは認めてもらえるようになっただろうか?
イスタンブールでフリーの通訳などにより、たまに日銭を得ながら、この“通信”に御託を並べていた時などは、それこそ最悪の状態だったかもしれない。
あれはあれで、毎日、一生懸命になって取り組んでいたのだけれど・・・。

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