メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

“あずきバー”の有難さ

先週は、毎日、古賀市にある土建会社へ“派遣”されていた。この土建屋さんは、福岡県から古賀市内の河川敷の草刈を請負っていて、私たちの仕事は、刈られた草を道路際まで運び上げる作業である。
草は熊手のような道具を使いながら、少しずつ引っ張り上げることも可能だが、道具を使い慣れないと却って面倒くさいので、私は両手で草をまとめて抱きかかえ、そのまま運び上げている。
そもそも、月曜日と火曜日の作業では、河沿いの民家の脇を通って、かなり長い距離を運び出さなければならなかったため、この方法が最適だった。
しかし、炎天下で作業を続けると、1時間も経たない内に作業着まで汗でびっしょりになり、そこへ草のカスや泥が付着して、凄まじく汚れてしまう。傍から見たら、なんだか悲惨な様相だったかもしれない。
その所為か、道を行く近所の人たちが、「暑い中、ご苦労様です」と親切に声をかけてくれたので、なかなか有難かった。
月曜日には、歩道の上にぺたんと座り、休憩を取っていた私たちの所へ、品の良い年配の女性がやって来て、井村屋の“あずきバー”を振舞ってくれた。
ひと箱の“あずきバー”は人数分を遥かに上回る量で、私も有難く頂いた。かつては、夏になるといつも夢みていた大好物の“あずきバー”を、帰国以来、初めて味わうことが出来て、涙が出るほど嬉しかった。
監督さんも、「うちは毎年、県から委託されて作業しているだけなんですが・・・」と恐縮そうにしていたけれど、女性は「家の裏の草まで刈って頂いてありがとうございます」と何度も礼を述べていた。
労働に感謝する日本の美風は、まだまだ廃れていないと思う。