メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

エルドアン大統領はリベラル?

3月から4月にかけて、イスタンブールの街角で、何度か偶然に、暫く会っていなかった友人や知り合いと出会った。
イスタンブールを飛び立つ直前の20日、7~8年も音沙汰がなかった友人とばったり顔を合わせた時は、『イスタンブールも見納めだから、最後に神様が会わせてくれたんじゃないか?』と、却って不吉なものを感じてしまったくらいである。
3月の5日に、カドゥキョイを歩いていて、6年前、ハタイ県のアンタキヤで知り合った青年から「マコト!」と呼び止められたのにも驚いた。
この青年とは、その後イスタンブールで、一度連絡を取り合って会ったものの、それは4~5年前のことである。呼び止められ、暫く話しても、何処で会った人なのか思い出せずに焦った。
高校で、化学だか物理だかを教えているそうだが、それを聞いてようやく思い出した。両親はディヤルバクル県出身のクルド人らしいけれど、本人はこれといった民族意識もない政教分離主義者で、支持政党がCHPなのは、尋ねるまでもなく明らかだった。
3月5日の当時は、約1か月後に迫った国民投票が至る所で話題になっていたから、10分ほど立ち話しながら、国民投票の話題にも触れてみたところ、彼は、「もちろん反対票を投じる」と断言した後で、エルドアン大統領について、ちょっと興味深い見解を示した。
「私もエルドアンは大嫌いだが、それほど悪い政治家だとは思っていない。政治姿勢を強いて分類するなら、あれはリベラルですよ」と言ったのである。
既に、エルドアンイスラム主義者と見做す人は大分少なくなったが、支持派以外から、「リベラル」という評価を聞いたのは初めてだったような気がする。
政教分離主義者の多くも、「トルコが政教分離を逸脱することはない」と確信に至ったのではないか? 今後、新しいモスクの建設などに見られるイスラム的な傾向は増すかもしれないけれど、それが政教分離を脅かす恐れなど全くないだろう。
一方、クルド問題の解決には、まだまだ紆余曲折があるに違いない。
しかし、かなりのクルド人が期待を寄せているように、エルドアン大統領は、解決への意欲を失っていないはずだ。この問題に対する政治姿勢は、確かに「リベラル」と言って良いと思う。

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