メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

イエニドアン撤収作戦

5年半暮らしたイエニドアンのアパートをいよいよ引き払うことになったけれど、最後の片づけ作業は、写真屋のメフメットさんがトラックで駆けつけてくれて、あっと言う間に済んだ。
メフメットさんばかりではなく、これまで何かと面倒を見てくれた隣近所の人たちに感謝したい。

実を言うと、メフメットさんは、もう2年ぐらい前から写真屋の仕事をしていない。店は若い後輩に譲渡してしまった。「独身の彼なら、あの店の売り上げでも何とかやっていけるだろう」という。
それから暫くは、中古のトラックを買い入れて、廃品回収の仕事をしていたが、3ヶ月ほど前だったか、イスタンブール市に奉職し、以来、廃品回収の方は、休日の副業になっている。
イスタンブール市の職場は、チャムルジャ公園のトイレの管理室で、先日、その職場を訪ねてみたけれど、最近はトイレも近代化されて、それほど大変な仕事でもないらしい。
料金も「スイカ」のような市の交通カードを使って支払う仕組みになっていて、日に何度か清掃する時以外は、冷暖房完備の管理室で座っていられるそうだ。
しかし、12歳で、郷里のトカト県からイズミル写真屋へ奉公に行って、苦労しながら写真の技術をマスターし、店を持つに至ったメフメットさんにしてみれば、決して満足できる転職ではなかったような気がする。
それでも、「俺もとうとう市の職員に出世したよ」なんて言いながら、笑っていられるところが、メフメットさんの人柄を物語っていると思う。

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