メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

スザンナさん親子の近況

マリアさんの娘のスザンナさんは、2011年だったか、私も間借りしていたことがある旧宅を売り払ってしまい、今はアジア側のボスタンジュのアパート(日本で言うマンション)で、地階の比較的安い部屋を購入して住んでいる。
昨日、久しぶりに訪ねて来たけれど、相変わらず賑やかで元気そうだったので安心した。
息子のディミトリー君は、イスタンブール大学で獣医学を学んでいる。獣医学科は、現在のトルコで、最も安定した就職と高給が保証されているそうだ。卒業すれば、この親子も何とか経済的な安定を得られるに違いない。
獣医の需要が高まっているのは、空前のペットブームのお陰であり、スザンナさんたちが暮らすマンションでも、殆どの住人が犬や猫を飼っているという。上階の部屋なら、マルマラ海の島々が見渡せるようなマンションだから、ペットの犬もなかなか高級な品種が多いらしい。
スザンナさんのところも、ひしゃげた顔の大きな犬を家の中で飼っている。愛嬌のある犬だが、ちょっと匂う。その為、昨日も直ぐに洗濯できる服を着て行った。じゃれ付かれると匂いが移ってしまうのだ。
スザンナさんは、犬の散歩で出会う同じマンションの住人や近所の人々とも多少交流を持っているようだけれど、「ヨーロッパ風に気取って偉そうな顔した田舎者」とか散々に貶しながら、次のように話していた。
「ジハンギルの旧宅の隣に住んでいたフィクレットおじさん知ってるでしょ? おじさん、シヴァス県の村の生まれで信心深いムスリムだから、この辺りの連中は“田舎者”と言うかもしれない。でも、おじさんは我々の文化を良く知っていて、敬意を表してくれた。ここの連中より百倍イスタンブール人だったわよ!」
まあ、現在70歳ぐらいになるフィクレットさんは、子供の頃、イスタンブールにやって来て、ずっとジハンギルで家の内装や修繕の仕事を請け負ってきたそうだから、昔の顧客にはルムやアルメニア人といった異教徒が多かっただろう。当然、彼らの文化を熟知して親しく付き合って来たに違いない。
ボスタンジュ辺りの人たちも、このフィクレットさんと比べられたら困ってしまうのではないかと思った。
さて、スザンナさんのお父さんは、ロードス島出身のイタリア人で、その姓もイタリアのものだと聞いていたけれど、昨日確認したら、スザンナさんの姓はツァツァロニスであり、女性形はツァツァロニになるらしいが、なんだか普通にギリシャ人の姓であるような気がした。
スザンナさんの話によれば、祖父、つまり故マリアさんのお父さんもロードス島の出身でイタリアのパスポートを持っていたという。しかし、ロードス島は1947年までイタリア領だったみたいだから、お祖父さんがイタリアのパスポートを持っていたのは、それほど不思議ではないかもしれない。故マリアさんの姓は、キリッツィだった。

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