メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

対岸の火事?

北朝鮮のミサイル発射は、トルコのメディアでも大きく取り上げられている。

今年に入ってから、北朝鮮の問題に限らず、「中国とアメリカが衝突するのではないか?」といった極東全体の情勢が良く話題になっていたけれど、この一件で一層「極東」に注目が集まりそうである。

しかし、ニュース専門局の時事討論番組で、トルコの識者たちは、「ようやく中東の戦火が収まりそうになったら、極東が危なくなってきた。北朝鮮の暴発を懸念している」などと述べながら、あまり心配そうな様子でもない。

とはいえ、日本人の多くも、「中東情勢への懸念」を明らかにするだけで、言うなれば「対岸の火事を見物していた」ようなものだから、文句は言えないだろう。

ひょっとすると、今度は、トルコの人たちが「火事の見物」を決め込む番かもしれない。

中東の戦火に、トルコはなるべく巻き込まれまいと努めて来たが、結局、IS掃討の越境作戦に踏み切らざるを得なくなった。外の火種を消してしまわなければ、国内に飛び火するテロを防ぐことができないと判断した結果ではないかと思う。

そのため、既に多くの軍人が戦死している。

元左派のクルド人で、今はAKP政権の支持者であるジャーナリストのムフスィン・クズルカヤ氏が、「軍人は死ぬために給料をもらっている」と発言して大騒ぎになっていたけれど、実際、軍人は死を覚悟しないと務まらない職種になってしまった。

一方、イラクとイランの国境に接して、トルコで最も危険な地域の一つと言えるハッキャリ県に生まれ、高校卒業まで同地で過ごしたというクズルカヤ氏も、いくどとなく危険な目にあってきたはずである。

日本で、「自衛官は死ぬために・・・」なんて言ったら、たちまち右翼だのファシストだの色んなレッテルを張られてしまいそうだが、クルド人のクズルカヤ氏は、どちらかと言えば左派に近いリベラルであり、トルコ民族主義的な右派とは全く関係がない。

ただ、ハッキャリ県で生まれたために、おそらく様々な災難へ巻き込まれていたに違いない。トルコの不運も、この延長線上にある。

果たして、この先、日本が同じような状況に陥らないという保証はあるのだろうか?

右翼と罵られても構わないから、「さっさと憲法を改正させて、自衛隊を戦える軍隊にしておかなければ、取り返しのつかないことになるかもしれない」とトルコの不運を振り返りながら考えてしまう。