メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

鳥の糞と宝くじ

トルコには、「鳥に糞をかけられた後で、宝くじを買うと良く当たる」なんていう妙な俗説がある。
「悪いことがあれば、良いこともある」と前向きに考える発想は結構だが、買った宝くじが外れた場合、もっと落ち込んでしまうような気もする。
昨日(1月14日)、出先で、イスタンブール在住の日本の方たちと談笑していたら、目の前にいた方が、鳥糞の被害にあってしまった。加害者は、多分、カモメのような大きい鳥じゃないだろうか、落とされた瞬間、ベチャッと大きな音がするほど大量の糞だった。
周囲にいたトルコの人たちの中からは、「わっ、ラッキー! 早く宝くじ買って来て!」と楽しそうに笑う声も聞かれたけれど、私ら日本人にとっては、楽しい要素など全く見当たらない災難そのものだろう。被害にあった方の表情に、もちろん笑みはなかった。
イスタンブールの宝くじ屋さんでは、シルケジに本店のある“ニメット・アブラ(ニメット姉さん)”が良く知られている。
写真は、先週の1月3日に撮ったもので、特に変わった様子は見られないものの、その1週間ぐらい前であれば、年末宝くじを買い求める人たちで、もの凄い混雑になっていたはずである。
店名になっている“ニメット・アブラ(ニメット姉さん)”は、この宝くじ店の創業者で、正式には「メレッキ・ニメット・オズデン」という。メレッキは天使、ニメットは“神の恵み”の意だから、名前からして実に縁起が良い。
ウイキペディア等で調べたところ、ニメットさんは1899年にイスタンブールで生まれ、1978年に亡くなっている。1928年、夫の営んでいた煙草屋で、宝くじも売りに出されたことが、彼女の人生に大きな転機をもたらしたそうである。
夫が宝くじの売り上げ金を回収できずに、店の経営が危機に瀕したため、彼女は自ら運営に乗り出し、1931年、10万リラの“新年宝くじ”の当たり券が同店から出ると、これを新聞広告等で大々的に知らせて、成功の糸口を掴んだらしい。なかなか商売上手な女性だったようだ。
*Nimet Abla(ウイキペディア・トルコ語版)ニメットさんの写真が掲載されている。

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