メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

MHP:民族主義者行動党

HDPのデミルタシュ党首らの逮捕は、8割近くの国民が賛同したそうである。AKPとMHPは言うまでもなく、党首のクルチダルオウル氏が反対を表明している左派CHPの支持基盤にも、どうやら賛同者はいるらしい。

しかし、知識人らの反応を見ると、従来AKP政権を支持してきた識者の中からも、反対の声は高まっているようだ。

HDPは、西欧にも拠点を持っているため、党首らの逮捕は、こちらでの活動を強化しかねないと多くの識者が懸念している。そもそも西欧は、この逮捕をきっかけに、早くもトルコへの非難攻勢を強めているという。

この「HDP~PKK」ばかりでなく、ギュレン教団も欧米に支援者がいるのだから、トルコがこれらのテロ組織を制圧して行くのは、おそらく生易しいことではない。

だからと言って、トルコは経済的にも欧米との関係をこれ以上悪化させるわけにもいかないだろう。あの「死刑制度復活」も、国民の不満をそらす、あるいはブラフとして使っているような気がする。また、そう信じたいところである。

とはいえ、最近、テロ対策や死刑復活論争を通して、右派MHP(民族主義者行動党)が非常に存在感を増している。

例えば、ギュレン教団の排除を進めるうえでも、MHPのバフチェリ党首は、エルドアン大統領にとって、かなり信頼のおけるパートナーとなり得るかもしれない。AKP党内にも未だギュレン教団のシンパが残っていると思われているからだ。

MHPは、軍部や司法にも、少なからず影響力を持っていると言われ、なかなか頼りになるらしい。しかし、もしもMHPと組んだりしたら、エルドアン大統領とAKPは、かつての中道右派と余り変わらない雰囲気になってしまいそうである。


トルコ民族主義を掲げるMHPは、伝説の中で民族の始祖とされている“灰色の狼”をシンボルにしている。

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支持者らは、狼の頭を模して、親指と中指薬指を合わせて突き出し、人差し指と小指を立てた手を掲げたりする。

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その狼の頭を模した手を掲げるバフチェリ党首。

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