メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

死刑論争

(11月3日)

再燃した死刑を巡る議論はなかなか冷めそうもない。今日(11月3日)のヒュリエト紙のコラムで、アブドゥルカディル・セルヴィ氏は、エルドアン大統領の発言を「ブラフではなく真剣だ」と論じていた。

セルヴィ氏の分析によると、死刑制度を復活させても、過去に遡及して、例えば、PKKの元指導者オジャラン氏を処刑することは不可能だが、フェトフッラー・ギュレン師の場合、テロ活動の継続性等々による立件も無理ではないらしい。

以前から死刑復活論者だったと思われるMHPのバフチェリ党首が、エルドアン大統領にエールを送ったため、慎重な構えを見せていたユルドゥルム首相も微妙に態度を変えてきている。

今までのこういった爆弾発言に纏わる議論の経過を振り返ってみれば、実現性は未だそれほどでもないような気もするが、なんだか良く解らない状況になってきた。

もちろん、EUからは激しい反発が予想される。そして、実際に死刑制度を復活させたら、これはEUに対する絶縁状になってしまいそうだ。

しかし、EUやNATOといった枠組みについて、疑問を提起している識者も少なくない。冷戦の産物であるNATOの存在意義など、とうに失われていると言うのである。

冷戦の時代に育ち、つい昨日までソビエトがあったように思っている私の頭では、なかなか整理がつかないけれど、確かに時代は大きく変わり、これまでの常識も徐々に通用しなくなって来ているかもしれない。果たしてどうなるだろうか?