メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ドイツ神話の崩壊?

今日、家賃を納めにウムラニエの銀行まで行った。

途中、渋滞で走ったり止まったりしているバスの窓から外を眺めていたところ、並走していたフォルクスワーゲンの高級車は止まったまま発進できなくなってしまったのか、パリッとしたスーツを着た中年男が、『まいったなあ』という顔しながら降りてきた。

それから、前を走っていた大衆車が、少し先でUターンしてくると、頭を向き合わせるようにして高級車の前に止まった。どうやら、バッテリーが上がってしまったらしい。

ワーゲンの高級車は、黒光りしていて、まだ新車のように見えた。あれでバッテリーが上がってしまうのでは、最初から欠陥があったとしか思えない。

フォルクスワーゲンは不正も取り沙汰されていたが、品質は大丈夫なんだろうか? 昨年は、韓国でBMWが突然発火する事件が相次ぎ、大騒ぎになっていた。

私も子供の頃から「ドイツの技術力は凄い」と思わされてきたけれど、最近、これがどうも怪しくなっているそうだ。

クズルック村の工場にいた頃だから、2001年か2年だろう。イスタンブールで日本語に堪能なドイツ人の青年と会って話したことがある。

強い訛りもあって余り流暢な日本語とは言えなかったものの、日本語の知識は相当なレベルで、かなり難しい本も読みこなしているような気がした。

この青年の話によれば、当時、ドイツの社会で肉体労働に従事しているのは、既にトルコ人を始めとする移民ばかりになっていたらしい。「レストランのウェイターとか、ガソリンスタンドの店員も殆ど移民の人たち」というのである。

「それじゃあ、あまり出来の良くないドイツの人は何をしているの?」と訊いたら、「皆、失業保険で食っているんですよ。そんな社会が長く持つと思いますか?」と問い返しながら、ハハハハと笑っていた。

しかし、その後もドイツの経済は好調を維持していたので、『あの青年の話は少し大袈裟だったのかなあ』と首を捻っていたけれど、いよいよ「ドイツ神話の崩壊か?」なんていう声も出てきている。

日本は、昨日からノーベル賞の話題で持ち切りじゃないかと思うが、2000年以降、科学3賞の受賞者は、日本が米英に次ぎ、独仏を大きく引き離しているらしい。

やっぱり、肉体労働を移民の人たちへ任せたりする社会は、様々な所に綻びが出てきてしまうのかもしれない。