メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

今日の昼飯/アルバニア風レバー/ベニスの商人

今日の昼は、家賃を入金しに行ったウムラニエで、“アルナブット・ジエリ(アルバニア風レバー)”を食べた。
なんで「アルバニア風」なのか良く解らないけれど、トルコの定番メニューの一つで、小麦粉をつけて揚げたレバー(羊か牛?)にちょっと辛めの味付け、生タマネギと一緒に食べるとなかなか美味い。この店のは特に美味しかった。
トルコでは鶏のレバーも一般的な食材となっている。しかし、良く肉を食べる割には、レバーの消費量はそれほどでもないような気がする。
また、調理の際は入念に火を通してしまうから、少し血が滲むような“焼き加減”はまず期待できない。もちろん、“レバー刺し”なんて有り得ない。
イスラム教やユダヤ教では、“血”も食べてはならない禁忌の一つに数えられている。それで、頸動脈を切る屠殺法により、充分な血抜きを行う。
血が滲むような肉やレバーは、教義の面から見ても、余り適切とは言えないのかもしれない。
“アルナブット・ジエリ”の昼飯を食べて、バスに乗ってから、ぼんやりこんなことを考えていたら、ふと「ベニスの商人」の話を思い出した。
悪徳なユダヤ人の高利貸しは、「期日までに返済できなければ、体から1ポンドの肉を切り取らせてもらう」という契約を実行に移そうとするが、「切り取っても良い。しかし、契約に書かれていない“血”は一滴も流してはならぬ」という名裁きによって野望を挫かれ、挙句の果てには、キリスト教への改宗を余儀なくされてしまう、というあの話。
なんとなく、あの話には、血を禁忌とするユダヤ教への皮肉も込められているのではないかと考えてしまったけれど、どうなんだろう? いくら血抜きしても、肉や特にレバーから完全に血を除去するのは無理じゃないかと思う。

f:id:makoton1960:20191008183833j:plain