メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

酒の飲み方

 33~5年前、20~22歳の頃は、湯上りに720mlの安い白ワインを一気飲みしたこともある。
ちょっと寝付かれないような暑い夏の晩、冷蔵庫で良く冷やしておいた白ワインを一気に飲んでしまうと、とても気持ち良く寝られて、翌朝すっきり目が覚める。
当時は、そうやって飲み干すつもりなら、720mlのワインが、アルコールの分量としてもちょうど良かった。ところが、今や普通にワインを1本(トルコでは通常750ml)空けても、翌朝なんとなくすっきりしていない。一気に空けたら、それこそ飲んでる途中で気持ち悪くなってしまうような気がする。
最近は晩酌の目安を、6~7時間の睡眠で目覚めがすっきりしているかどうかに置いているけれど、これだとワインは400~500ml、ウォッカならショットグラスで2~3杯がいいところである。
アルコールを分解する力も、年齢と共に大分落ちて来ているのではないかと思う。高校生ぐらいの頃は、何の弁えもない凄まじい飲み方で、ゲロ吐いたり、公園や駅等で寝込んでしまったり、色々やらかしたが、今あれをやったら、急性アルコール中毒で間違いなくお陀仏だろう。
しかし、あれをやったお陰で限度が解ったのか、20歳以降、酒で失敗した記憶は殆どない。でも、朝起きたら記憶が飛んでいて、前の晩の一部始終が思い出せなかったことは度々ある。
ちょうど2年前の2月、1週間ぐらい通訳として通った工場へ技術指導に来られていた日本の方と、我が家からほど遠くないサルガーズィのメイハーネ(居酒屋)でラクの杯を重ね、翌朝、我が家で目が覚めたものの、どうやって家に辿り着いたのか直ぐ思い出せず、大いに焦った。
当たり前な格好して寝ていたし、時間通りにアラームで起きたのだから、それほど心配しなくても良さそうに思えるが、技術者の方はどうされただろうか? これが不安で堪らなかった。
技術者の方がお泊りになっていたホテルも、サルガーズィと工場の中間ぐらいに位置しているけれど、我が家とは大分方向が違う。そして、サルガーズィでタクシーに乗ったような記憶は何とか引き出せても、そこから先が消えている。
でも、その朝、工場で御挨拶して、恐る恐る前の晩の経過を伺ったら、大したこともなかったらしい。タクシーでまずホテルへお送りし、それからイエニドアンの家に向かったようである。「昨日は良い酒だったねえ」とお話になっていたので、ほっと胸を撫で下ろした。
その後、財布の中を見たら、なんとタクシーの領収書まで取ってある。トルコのタクシーは、催促しなければ、領収書なんて出してくれない。かなり酔っ払っていても、そういうのは忘れないせこさに、我ながら驚いた。
その日は、一日中頭が重かったものの、記憶が飛んでしまうほど飲んでいたのか、ちょっと良く解らない。アルコールの量なら、おそらく昨年の夏、あのソウルで飲んだ高粱酒のほうがよっぽど多かったと思う。
おそらく、どういう風に目を覚ましたかなど、他にも様々な要因が記憶を左右するのではないだろうか?