メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

レクイエム

今日(1月29日)は良く晴れて気温も10℃ぐらいまで上がり、少し残っていた雪もきれいさっぱり融けてしまった。
“喜びの丘”に登って景色を眺めながら、自分もそのうち、あの雪のようにすっと消え果ててしまうのかと、つまらない感傷に浸ってみたりして、相変わらず軽薄な毎日を生きている。
まったく先の見通しが立たない状態だから、もちろん不安で堪らないけれど、前途洋々たる未来が開けたら、あんなに切ない感傷は味わえなくなると思う。
酷く落ち込んで、これまでの情けない半生を振り返り、先行きの不安に怯えながら安い酒を飲み、パソコンに付けたヘッドホンから流れて来る「モーツァルトのレクイエムの冒頭3曲」に耳を傾ける。これだけで、止めどもなく涙が溢れるくらい感動してしまうのである。
これは、ゆったりソファに座り、美味い酒を飲みながら、高価なオーディオでレクイエムを聴いても、決して得られる感動じゃない。情けない半生と先行きの不安、如何にも貧しい部屋の様子に酒の不味さが、キリエを神々しいまでに響かせるのだ。
そして、『これほど心を震わせ、涙を流してしまうなんて、俺の感性は凄い・・・』と良く解らない尊大な優越感に満足する。素晴らしい。しかし、この軽薄な幸せは、いったいいつまで続くのだろう。


Mozart - Requiem (Böhm) 1/4

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