メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

イスタンブールの自爆テロ事件

昨日(1月12日)、事件があった10時半頃より、1時間ほど早かったけれど、私はスルタンアフメット広場の現場から歩いて5分ぐらいの所にいた。
観光ホテルを経営している友人夫婦を訪ね、用事が済んだので、海峡横断地下鉄マルマライ線に乗るとして、シルケジ駅の方に出ようか、イエニカプ駅にしようか、ちょっと迷った。9時15分ぐらいじゃなかったかと思う。
距離的にはイエニカプ駅が遥かに近いものの、来る時は、そのイエニカプ駅から歩いて来たため、帰りはシルケジ駅まで、スルタンアフメット広場辺りを見物しながらぶらぶら歩いて見ようかと考えていたのである。
しかし、友人が「イエニカプ駅まで車で送ってあげよう」と声を掛けてくれたので、ありがたく乗せてもらって、結局、スルタンアフメット広場の方には行かなかった。
今日(1月13日)は、2時頃にシルケジ駅の近くで用事を済ませ、そのままマルマライ線に乗って帰ろうかとも思ったが、せっかくここまで来たのだから、友人のホテルにも寄って行くことにして、今度は意図的にスルタンアフメット広場を通過する道を選んだ。
スルタンアフメット広場は、もちろん観光客の姿が少なかったけれど、まったく見当たらないような状況でもなかった。アヤソフィアの入り口には、何人か並んでいるのが見えたし、ブルーモスクの前で写真を取り合っているツーリスト風の女性たちもいた(東欧から来たツーリストのような感じだった)。
事件の現場では、ちょうど「CNNトルコ」がニュース番組の撮影を行っていたものの、昨日の悲惨な事件が信じられないくらい平穏な状況だった。
ホテルに着いて、フロント係りの青年と雑談しながら、「いやあ、昨日、彼が車で送ってくれなかったら、私はちょうどあの辺を歩いていたかもしれないなあ」と話したところ、なかなか教養があって、いつも冷静な青年は、「まあ、そうであったとしても、事件に遭遇する確率は非常に低かったでしょうね」と笑い、話を大袈裟にしようとした私を窘めているかのようだった。
実際、現時点においても、イスタンブールでテロに遭遇する確率は、交通事故に巻き込まれる確率よりもずっと低いような気がする。
青年、そしてホテルを経営する友人は、当然、事件がビジネスに与える影響を心配していたが、2003年のアルカイダによる連続爆破事件の時でさえ、その次のシーズンにはツーリストが戻って来ていた例を挙げ、自ら悲観的な展望に陥らないよう努めていた。

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