メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

チャーラヤンのモンゴル料理屋

先日、チャーラヤンまで出かけたのは、このモンゴル料理屋が目的だった。
場所は、この前、コマーシャルのエキストラでまた一緒になった顔見知りのモンゴル人青年から聞いた。彼はトルコへ留学に来て、学位を取るとそのままトルコでエンジニアとして就職したらしい。
料理屋の店名は良く解らない。何しろ、看板からメニューに至るまで、全てモンゴル語だから、何が記されているのかさっぱりだった。
チャーラヤンには立派な裁判所があるけれど、かなり庶民的な街で、地方から出て来た余り暮らし向きの良くない人たちも多く暮らしている。
途中、東洋顔の人とも何度か出会った。モンゴル人だったような気がする。多分、留学とかそんな洒落たものじゃなくて、半ば出稼ぎに来ている人たちじゃないかと思う。
4~5年前、イスタンブール市内の韓人教会に来ているモンゴルの人に訊いたら、当時、イスタンブールには約3000人のモンゴル人が暮らしていたそうだ。この数値は、日本人はもちろん、韓国の人たちよりも遥かに多い。
料理屋の場所を教えてくれた青年は、イスタンブールでも結構良い所に住んでいるようだ。おそらくモンゴルにいた頃から、チャーラヤンの人たちとは、レベルの異なる生活をしていたのではないかと思う。
それでも、時々、故郷の味を求めて、場末の料理屋を訪れ、同胞との交流を楽しんでいるのかもしれない。
さて、私が訪れた時は、昼、少し時間が早かった所為か、お客は未だ一人も来ていなかった。あとから、4人来たけれど、全て中年の女性で、皆モンゴル人だった。
そもそも、モンゴル語の看板しか出していないし、モンゴル人以外の客が来るなんて、殆ど想定されていないのだろう。
がらんとした店内に入って、トルコ語で呼びかけたところ、厨房から顔を出した若いモンゴル人女性は、なおもトルコ語で話し続けた私を、暫く不思議そうに眺めた後、ようやく「えーと、何処の人ですか?」とトルコ語で訊いた。
「日本人(ジャポン)」と答えると、目を大きく見開いて、「ヒー、ジャポン!」と嬉しそうに叫んでから、「こんにちは」と日本語で言い添えた。
写真を撮って来なかったのが残念なくらい美形な女性だが、モンゴルの大学で学んでいた頃、日本語を選択していたことがあったらしい。片言の域を出ないものの、発音は非常に正確だった。
料理は、モンゴルと言えば良く登場する有名な小籠包風の一品(ボーズというものじゃないかと思うが、モンゴル語の発音は難しくて良く聴き取れなかった)。その前に、スープ(これも聴き取れなかった)とカルピスを温めたような飲料を飲んだ。これは何度も訊いて確認した。「アールトゥ」と言ったのではないかと思う。
小籠包風はもちろん、このアールトゥがなかなか傑作だった。少し甘味を感じたが、カルピスほどではない。子供の頃、酒粕を溶いて砂糖を入れた“甘酒の代用品”を良くおやつ代わりに飲んでいたけれど、なんだかそれを思い出してしまった。初めて飲んだはずなのに懐かしい気がした。

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