メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

変わる世の中

たまに一時帰国すると、いろいろ変わっていることがあって、戸惑ったり驚いたりしている。
例えば、実家の近くのセブンイレブンで、レジに菓子パンやら発泡酒やら幾つか置いて、ぼんやり計算が済むのを待っていたら、店員さんに「押してください」と催促され、彼女が指し示す方を見て驚いた。画面に『20歳以上ですか?』と表示されている。55歳のおっさんに、「20歳以上ですか?」もないもんだが、『はい』を押さないと、酒類の会計が出来ない仕組みになっているらしい。
いつ頃からこうなっているんだろうか? 正月もここで酒類を買ったような記憶があるから、それより後のことじゃないかと思うが、少なくとも、ひと月やふた月は過ぎているのだろう。新しいシステムであれば、店員さんも、いきなり「押してください」じゃなくて、何か説明してくれたはずだ。
それから、レンタカーを借りて給油する際、ガソリンスタンドがセルフサービスになっていたので驚いた。これはもう随分前かららしいが、考えてみると、日本で車を運転するのは、2003年以来である。トルコでも2005年以来ないが、車の運転なんてものは体で覚えているから忘れないようである。
しかし、セルフサービスのガソリンスタンドには困ってしまった。どうしようかと思ったら、ちょうどそこへレンタカー屋の人が来ていたので、手取り足取り教えてもらった。礼を述べてから、「すみませんねえ、外国生活が長いもんで・・・」とかつまらない言い訳を付け加えたけれど、レンタカー屋の人は何と思っただろうか?
以前、長距離トラックの運転手として働き始めた頃に、これで誤解を招いたような覚えがある。95年に3年暮らしたトルコから戻って来て、まず1年のあいだ川崎でダンプをやってから転職した後のことだった。
年若い同僚と2台のトラックで大阪へ向かう途中、サービスエリアで風呂に入ったら、その若い運転手が私の体をしげしげ見ながら、「ああ墨は入れてないんですね?」などととんでもないことを訊く。驚いて「そんなもんあるわけないだろ」と言い返したら、「いやー、もっぱらの噂ですよ」なんて言うのである。
私の風体見て、誰がそんなこと想像するのかと首を捻ったが、しばらく考えていて、はたと思いついた。カバン一つ持って、その会社の寮に入った翌日、他の運転手に前の職歴を訊かれて、「1年ほど、川崎でダンプをやっていました」と答えたところ、さらにその前を訊かれたので、トルコについて色々説明するのも面倒に思い、「その前は外国にいたんで・・・」と言葉尻を濁したら、相手は「へえー、外国ですかあ」とニヤニヤしていた。
多分、この“外国”が誤解を招いたんじゃないかと思う。その“外国”にいた期間も訊かれたため、これには「約3年」と正直に答えて置いたけれど、相手は『3年? 3年の刑期か・・・。こいついったい何をやらかしたんだろ?』なんて余計なことを考えてしまったのかもしれない。

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