メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ソウルの山登り

 ソウルの最終日だった18日の午前中、景福宮の西側に聳えるイナンサン(仁王山)という山に登ってみた。旅館からそのまま歩いて登れる標高338mほどの小さな山だが、荒々しい岩肌がむき出しになっていて、なかなか結構な山らしく見える。
ちょっとしたハイキングコースになっているのか、登り口や分岐点には大きな地図が掲げられていて、道に迷う心配はないし、急な斜面には階段なども整備されているから、楽に登ることが出来る。しかし、樹木があまり茂っていないため、直射日光にさらされ、もの凄く暑かった。その代わり、展望を遮るものもなく、尾根に出てからの眺めは最高だった。
南側には、ナムサン(南山)からハンガン(漢江)の流れまでが一望され、頂上へ至ると、北側にプカンサン(北漢山)の頂きを望むことが出来た。
プカンサン(北漢山)は標高837mあるそうだ。周囲を山に囲まれたソウルで、87~88年に語学留学していた頃は、その山々に登ってみようかと思いながら、結局登ったのは、下宿から歩いて行けるアンサン(鞍山)ぐらいである。最近は、イスタンブールの山々にも登ったりしているのに、あの頃はどうも怠慢だった。

イナンサン(仁王山)の頂上からは、360°の展望が得られるけれど、景福宮のある東側にカメラを向けることは禁止されていた。もちろん、景福宮の撮影が禁じられているのではなく、その後方に位置する青瓦台(大統領官邸)を写さないでくれと言うのである。
このためか、尾根のあちこちに若い兵士たちが配備されていた。その兵士らに、「撮影禁止という表示が出ているけれど、全ての方向が禁止されているの?」と訊いたら、「いや、青瓦台が写らなければ、あとはどの方角を撮影されても構いません」と丁寧に礼儀正しく答えてくれた。
北朝鮮との対峙という事情があるとはいえ、グーグルアースでも、青瓦台が眺められてしまう時代である。デジカメの撮影を禁じることに何の意味があるのか全く解らないが、若い兵士らに、そんなこと言っても始まらないので、「良く解った」と伝えてから、「スゴハセヨ(ご苦労様)」と言い添えたら、姿勢を正し、気合を入れて「カムサハムニダ!(感謝します)」と叫んだ。若者らしい、とても爽やかな響きだった。

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