メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トラック野郎の集会

シルケジ駅前の公園に、むさくるしい男たちが集まって、なにやら話し合っている光景を良く目にすることがある。仕事を探しているトラックの運転手たちだと聞いていたけれど、最近は昔に比べると集まっている人の数が多少減ったかもしれない。
先月、その様子を写真に収めた後で、ちょっと彼らから直に話を聞いてみた。やはり、皆、自分でトラックを所有している個人営業の運転手たちで、シルケジ駅前には輸送業者のオフィスが集中しているため、ここに集まって仕事の情報を得ているのだと言う。
時々、男たちの間を「アダナへトレーラー1台分の仕事!」などと叫びながら歩く人がいる。それから運賃等を交渉して、折り合いが付けば、仕事が成立するのだろう。
50年配の運転手さんに、「今は何でもインターネットで情報が得られるでしょう? 何故、ここに集まる必要があるんですか?」と訊いたら、「私らインターネットなんてややこしいものは使いこなせんのですよ」と笑っていたけれど、どうなんだろう? 混んでいるバスの中で、もういい歳のおばさんがスマホを弄ったりしている時代である。集まっているのは、直接顔を合わせるといった目的があるのかもしれない。
この運転手さんには、以前から確かめてみたかったことを、もう一つ訊いてみた。「今でも税関の荷物は、特定の組合に所属している運転手さんしか運べないの?」。
「そうだよ、税関には契約のある業者しか入れないねえ」という答えだったが、実際のところは、税関なり輸送業者なりに確認してみなければならないだろう。でも、そういう調査を頼まれているわけじゃないから、これで終わりにした。
もう15年ぐらい前になるけれど、クズルック村の工場へ、イスタンブールの税関を出たトラックが3日も経って到着したことがあった。イスタンブールからクズルック村までは、3時間もあれば充分な距離である。運転手を問質したところ、途中、アダパザルの親戚の家に寄ってきたなどと悪びれもせずに話していたそうだ。
当時、輸入されて税関から出て来る荷物は、特定の組合が、所属している個人営業の運転手たちへ、適当に振り当てていたらしい。だから、税関に苦情を言っても埒があかない。こちらから業者や運転手を選ぶこともできなかった。
これでは困るので、他のトルコの企業がどうやっているのか調べてみると、大きな企業は、税関の直ぐ近くに自前の倉庫を構え、税関の荷物は、まずその倉庫へ搬入させて、そこから信頼のおける輸送会社に運んでもらっていたのである。
これなら、組合の運転手も、僅かな距離を走るだけで、規定の運賃が得られて言うことなしだった。それを「アダパザル県のクズルック村まで」などと言われようものなら、その時点で既にへそを曲げてしまったかもしれない。
しかし、なんと無駄の多いシステムだろう? 税関とその組合に、何か妙な癒着でもあるとしか思えなかった。

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