メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

アラビアのロレンス

アラビアのロレンス”は、1971年、銀座にあった“テアトル東京”という映画館へ連れて行ってもらって初めて観た。小学校4年生だった。
まずは、“テアトル東京”の豪華さに驚かされた。見慣れた錦糸町・江東楽天地の映画館とはえらい違いである。あんな豪華な所で映画を観たのは、あれが最初で最後じゃなかったかと思う。
もちろん、“アラビアのロレンス”にも非常な感動を受けた。今でも、最も印象に刻まれた映画を問われれば、真っ先に、「アラビアのロレンス」と答えざるを得ないだろう。なんといっても、モーリス・ジャールの音楽と砂漠の情景が素晴らしい。
そして、私が始めて“トルコ”に興味を覚えたのも、多分、この映画だったような気がする。しかし、“アラビアのロレンス”で、トルコはまるで悪者扱いされていたけれど、あれを観てトルコに悪い感情を懐いてしまったという記憶もない。
映画のパンフレットを買ってもらって、何度も繰り返し読んだが、そこに、ある程度は客観的な歴史観が示されていたのだろうか?
また、ピーター・オトゥールの演技もあって、子供心に“ロレンスの狂気”を感じていたかもしれない。敗走するトルコ兵に、ロレンスが追い討ちをかける場面は、『可哀想だ』という印象と共に思い出された。
しかし、長い間、トルコ人と言えば、まず、将軍ベイを演じたホセ・ファラーの顔が浮かぶようになっていたのも事実である。
今、この“アラビアのロレンス”を改めて観たら、どう思うだろう? あまりにも一方的な押し付けがましさに、途中でうんざりするのではないか。戦前の日本がスローガンにしていた鬼畜米英というのも、言い得て妙だなと何だか納得してしまいそうな気もする。

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